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マルテンポ ~ ロシアのピアノ・ソナタ集(バラキレフ,グラズノフ,コセンコ)
2023年9月末に発売されたPiano Classics10枚組BOXセット『Explorer Set: Slavic Edition』。購入した目的は分売盤が廃盤になっていたジョルジーニの『エネスク/ピアノ曲集』。
それ以外で好きなのは、ヴィンチェンツォ・マルテンポの『リャプノフ:12の超絶技巧練習曲』と『バラキレフ、グラズノフ、コセンコ:ピアノ・ソナタ集』。どちらも分売盤だったら聴くことも買うこともなかったに違いない。

エクスプローラー・セット スラヴ・エディションエクスプローラー・セット スラヴ・エディション
(2023年09月下旬)
Various Artists



マルテンポはアルカン録音で有名らしく、他にリスト、リャプノフ、ブラームスも録音。技巧レベルが高いのは間違いないのでその点は安心して聴ける。
ロシア・ソナタ集に収録されているバラキレフ、グラズノフ、コセンコのピアノソナタは(前世紀初頭のロシア音楽の)「銀の時代」の作品。

<バラキレフ/ピアノ・ソナタ第2番>
1905年作、リャプノフに献呈。ブックレットの解説によると”後期ロシアロマン派のポストショパン風「黒鍵」”。
第1楽章の対位法を使った主題は哀愁帯びてちょっと感傷的。アルペジオが流麗で華やか。
Piano Sonata No. 2 in B-Flat Minor, Op. 102: I. Andantino


第4楽章フィナーレは華麗に鍵盤上を駆け回り、軽快なラフマニノフとかショパンみたい(革命のエチュードとか)に聴こえる。
Piano Sonata No. 2 in B-Flat Minor, Op. 102: IV. Finale, allegro non troppo, ma con fuoco


Hyperionサイトの作品解説がわかりやすくて面白い。「バラキレフは、4楽章からなるソナタ・サイクルを脱ドイツ化するという決意のもと、第1楽章と緩徐楽章から劇的な重みを取り除いた。その代わりに、民俗的なモチーフを含むしなやかな主題で、全体的に優雅な下行を描写するフーガ的序奏という極めて異例な手法で始めている。この楽章の残りは、厳格なフーガと自由な狂詩曲の関係を探るもので、まるでこの2つの要素が混ざり合うことはありえないということを誰も作曲者に教えていなかったかのようだ(あるいは、誰かが教えていて、それが間違っていることを証明しようと決意したのかもしれない)。そして、ショパンのどのマズルカよりも豊かな装飾で主題を飾るトリオの部分からなる、もともと50年ほど前に作曲された第2楽章のマズルカが続く。
 第3楽章はインテルメッツォで、主題は断片から構成され、明確な旋律として固まることはない。スクリャービン風の伴奏で飾られ、そのcontour(輪郭、曲線)は優勢的な拍子と微妙に矛盾している。この見かけはロシア印象派の習作(exercise)はこのソナタで唯一20世紀を感じさせる部分である。この緩徐楽章が暗示的でとらえどころがないとすれば、フィナーレは岩のように堅固である。最初はシューマン的なテクスチャー、次にリスト的な精巧さを持つが、その大部分は力強い技巧性の誇示である。しかし、対照的なエピソードで緩徐楽章の断片が回想され、今度は本格的な歌へと収束し、最終的に平和的なエンディングに到達する。」


<グラズノフ/ピアノ・ソナタ第2番>
ロマン派の有名なピアノ・ソナタと比べても、この曲は好きな曲。ブックレットの解説では、作曲年の1901年はスクリャービンのピアノ・ソナタ第3番と第4番の作曲年に挟まれた後期ロマン派の時代だが、当時の後期ロマン派風の雰囲気とは異なり、作風は形式と和声の面でブラームスあたりの”big boned fibre”(骨太の性質)、フィナーレではシューマンの幻想曲風の執拗な符点のリズムと浮き沈み(ebb and flow)"と書かれていたので、この曲がなぜ好きなのか理由がわかった。

叙情的な第1楽章はバラキレフよりも感傷的には感じないし、長調の緩徐部は明るく開放的。華麗なアルペジオはパッショネイトで曲の展開もドラマティック。
Piano Sonata No. 2 in E Minor, Op. 75: I. Moderato-poco più mosso


さざめくような旋律が優美なスケルツォ。(曲中で最も技巧的難易度が高い楽章らしい)
Piano Sonata No. 2 in E Minor, Op. 75: II. Scherzo, allegretto


フーガが入っていたり、重音の旋律が多いせいか、古典的でかっちりとした構築感があり、和声の響きも美しく、とても好きな楽章。
Piano Sonata No. 2 in E Minor, Op. 75: III. Finale, allegro moderato



<コセンコ/ピアノ・ソナタ第2番>
第1楽章は旋律の歌謡性が低いせいか記憶に残りにくいし、主旋律以外の音が多すぎるのと、構成が把握しにくくて、全体的に混然とした感じがする。(解説では、曲全体の特徴として挙げられているのは、室内楽風の和声、オーケストラを想像させるエネルギッシュなオクターブ、和音と和声的ダブリング、感傷性よりも明瞭性(Starkness)を強調した旋律とモチーフ、など)
Piano Sonata No. 2 in C-Sharp Minor, Op. 14: I. Andante con moto


第1楽章に比べて主旋律も構成もわかりやすく、行進曲風で勇壮感もあり、聴きやすい。
Piano Sonata No. 2 in C-Sharp Minor, Op. 14: III. Allegro vivo


tag : グラズノフバラキレフマルテンポ

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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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