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ピオー&カドゥシュ『Voyage intime』
久しぶりに購入したサンドリーヌ・ピオーのCDはコンセプトアルバム『Voyage intime(私的な旅)』。
収録曲は知らない曲がほとんどだったけど、試聴すると好きな曲が多い。今まで買ったピオーのコンセプトアルバムはこれで合計4枚。どれも私好みの選曲だった。
今回の伴奏ピアニストはいつものスーザン・マノフではなく、ダヴィッド・カドゥシュ。マノフもカドゥシュもピオーのCDで初めて聴いたピアニスト。

私的な旅~ドイツ、オーストリアとフランスの歌曲集私的な旅~ドイツ、オーストリアとフランスの歌曲集
(2023年02月6日)
サンドリーヌ・ピオー、ダヴィッド・カドゥシュ

<収録曲>
リスト:『ヴィルヘルム・テルからの3つの歌 S.292』~漁師の少年/どうやって”彼らは尋ねた S. 276
ヴォルフ:『メーリケ歌曲集』~古い絵に、めぐりあい、隠棲
シューベルト:『「ヴィルヘルム・マイスター」からの歌 Op. 62, D. 877』~第3番ミニョンの歌「このよそおいをお許し下さい」、第2番ミニョンの歌「私に言わせないで」/ミニョンの歌「ふるさとは南の国」 D. 321
クララ・シューマン:『6つの歌曲 Op.13』 ~彼らは愛し合っていた/ローレライ、スケルツォ第2番 Op.14(ピアノ独奏)
シューベルト:魔王、死と乙女、君よ知るや南の国
デュパルク:旅への誘い、前世
ブーランジェ:『空の開けたところ』~もしもこれがちっぽけな夢に過ぎなかったら、あなたはぼくを見た、あなたの魂すべてで/行列(ピアノ独奏)
ドビュッシー:『ボードレールの5つの詩』~瞑想、噴水、恋人たちの死

(注記)シューベルト『「ヴィルヘルム・マイスター」からの歌 Op. 62, D. 877』第4曲ミニョンの歌「ただあこがれを知る者だけが」→CDに未収録。レーベルサイトとストリーミング・ダウンロードサイトの音源には入っている。収録時間が1時間弱しかないので22曲目も収録できたはず。どうしてこの曲がCDに入っていないのだろうか?
タワーレコード経由で問い合わせたレーベルの回答は「トラック22はデジタル配信のみのボーナストラック」。レーベルサイトには、CD1枚61分(計算したら21曲分)で試聴用トラック22曲が表示されているし、ボーナストラックという注記はどこにも無い。タワーレコードのCD情報の曲数もバックインレイ画像のトラック数(どちらも21曲)もしっかりチェックしていなかったので、22曲目がCDに入っていないとは思わなかった。

CDケースはデジパックではなく紙ジャケットタイプ(プラ製CDトレー無し)。
ブックレットは仏英独語。Clément Rosset(クレマン・ロセ、フランスの哲学者、作家)の著書”Loin de moi : Etude sur l'identité”(私から遠く離れて:アイデンティティに関する研究)の一節、及びMartha Medeirosの死”Dying Slowly”の一節(Pablo Nerudaの詩とする間違いが多い)(1頁)、ピオーとカドゥシュの言葉(1頁)、”SETTING THE TONE OF THE JOURNEY"(ピオーとカドゥシュの対話)が計3頁)、2人一緒のポートレート(モノクロ・カラー各1枚)

ビオーの言葉:「新たな視野への期待、新たな出会いの喜び......あらゆる形の旅が、デヴィッドと私にとって、このリサイタルの共通項でした。心に描きながらも近づくことのできないどこか別の場所を探求することから、死への最後の道まで、私たちの旅は、私たちの願望や障害だけでなく、人生が私たちに与えてくれる "幸運な逃避行 "も描いています。私たちの音楽的寄港地は、メランコリーが王様であるような放浪の旅の中にあります。旅の結末はわかっていても、その間に起こることは、私たちを圧倒するような感情に満ちているからです。」(‘The promise of new horizons, the joy of new encounters: the journey in all its forms was the common thread of this recital for David and me. From the quest for a fantasised yet inaccessible elsewhere to the last passage to death, our journeys map our aspirations, our obstacles, but also the “Lucky escapes” that life offes us. It is in those wanderings where melancholy is king that our musical ports of call are situated. For if we know how the journey ends, what happens in the meantime is rich in emotions that can overwhelm us.”)


収録曲の歌曲のなかで好きなのは、リスト、ヴォルフ、シューベルトの《ヴィルヘルム・マイスター」からの歌》、クララ・シューマンの曲。なかでもクララ・シューマンの2つの歌曲とピアノソロに魅せられて、クララのピアノアルバム買おうかと思ったくらいに私の波長にぴったり合ってしまった。

「ミニョン」という曲名の歌曲は、シューマンとアルバン・ベルクの歌曲を聴いたことがあり、どちらも好きな曲。他にもあるのか調べてみるとベートーヴェンやリストなど10曲以上見つかった。

歌曲のほかにカドゥシュのピアノソロが2曲-クララ・シューマン《スケルツォ第2番》とブーランジェ《行列》。《スケルツォ第2番》はいかにもロマン派の曲という感じのパッショネイトな曲。

1. リスト/ヴィルヘルム・テルからの3つの歌 S.292~「漁師の少年」
曲だけ聴いていると清々しく爽やかで憧憬の気持ちが籠っているような美しい曲。でも歌詞を読んだら、湖からの誘いに引き込まれた少年が溺れて死んでいく情景だった。(「ローレライ」伝説みたい)
3 Lieder aus Schillers "Wilhelm Tell", S. 292: No. 1, Der Fischerknabe (Es lächelt der See)

Drei Lieder aus Schillers Wilhelm Tell S.292/シラーのヴィルヘルム・テルよりの3つの歌[出典:梅丘歌曲会館 詩と音楽]

4. ヴォルフ/メーリケ歌曲集~「隠棲」
微睡むような穏やかな旋律が美しい。歌詞は人とのかかわりを拒絶し独りにして欲しいと訴えているので、曲の印象とは全然違ってた。
Mörike-Lieder: No. 12, Verborgenheit

Verborgenheit /隠遁[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
 
シューベルトのミニョンの曲は短調でも長調でも清楚で親密感が強い。
5. シューベルト/「ヴィルヘルム・マイスター」からの歌 Op. 62, D. 877~第3番ミニョンの歌「このよそおいをお許し下さい」
4 Gesänge aus 'Wilhelm Meister', D. 877: No. 3, Lied der Mignon [II] .Nicht zu langsam

Lied der Mignon Op.62-3 D 877 Gesänge aus Wilhelm Meister/ミニヨンの歌 ゲーテ「ヴィルヘルム・マイスター」[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

22. シューベルト/「ヴィルヘルム・マイスター」からの歌 Op. 62, D. 877~第4曲 ミニョンの歌「ただあこがれを知る者だけが」(CDに未収録)
涙が滴り落ちるような曲。
4 Gesänge aus 'Wilhelm Meister', D. 877: No. 4, Lied der Mignon [III] . Nur wer die Sehnsucht kennt

Lied der Mignon Op.62-4 D 877 Gesänge aus Wilhelm Meister/ミニヨンの歌 「ヴィルヘルム・マイスターより」の歌[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

12 .シューベルト/ミニョンの歌「ふるさとは南の国」 D. 321
冒頭の愛らしい旋律は憧れの国への想い、ラストの躍動感はその国へ旅立つ期待。シューベルトのミニョンの歌のなかで、これが一番明るくて好き。
Mignon, D. 321

歌詞はゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』中の詩”Kennst du das Land”(あなたはあの国をご存じですか)。


7. クララ・シューマン/6つの歌曲 Op.13~第2番「彼らは愛し合っていた」
これも哀感あふれる曲。歌詞を読むと、「彼ら」はすれ違ったまま恋愛が成就することなく死んでしまった、という歌。
6 Lieder, Op. 13: No. 2, Sie liebten sich beide

Sie liebten sich beide   Op.13-2  Sechs Lieder/彼らは互いに愛し合っていた 6つの歌[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

8. クララ・シューマン/ローレライ
何かに追い立てられる急迫感と激しい感情に満ちた曲。ローレライ伝説をうたったハイネの詩と音楽とがぴたっり合っている。
Lorelei, KochS WoO 19

Die Loreley /ローレライ [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

9. クララ・シューマン/スケルツォ第2番(ピアノ独奏)
「ローレライ」と似た曲想でとてもパッショネイト。流麗な旋律と和声の響きがメンデルスゾーン(幻想曲とか)を連想する。
カドゥシュのピアノは指回りよく技巧的な安定感があり、フレージングが綺麗なレガートで、起伏は波のように曲線的で滑らか。煌めく高音が美しく、パッショネイトでロマンティック。(NMLで聴いたこの曲の録音(20曲くらい)のなかでは、音質・演奏ともマイベスト)
Scherzo No. 2, Op. 14



14. デュパルク/前世
デュパルクの有名な「旅への誘い」よりも「前世」の方が曲としては好き。歌詞と解説を読むと味わい深い曲。
La vie antérieure

a vie antérieure/前世 (詩: ボードレール)[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
アンリ・デュパルク 「前世」[クラシック歌曲の森へ]

18. ブーランジェ/行列(ピアノ独奏)
「行列」は祭りの賑やかな一場面。ピアノ独奏版以外にヴァイオリン(またはフルート)とピアノの二重奏版もある。
Cortège



21. リスト/”どうやって”彼らは尋ねた(S. 276)
歌詞を読むとちょっとユーモラス。最初はちょっとコミカルな感じの”問い”、続いて教え諭すような「答え」、という静動のコントラストが面白い。
LISZT // 'Comment disaient-ils, S. 276'' by Sandrine Piau & David Kadouch

Comment,disaient-ils S.276/「どうやって」彼らは尋ねた(詩: ユゴー)[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

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プロフィール

Author:Yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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