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ヴェロニク・ジャンス『星月夜~フランス歌曲集』
ヴェロニク・ジャンスのフランス歌曲集『Nuit d'étoiles/星月夜』。賑やかに歌っているピオーの「夢のあとに」よりもずっと落ち着いた歌い方と収録曲が気に入ったのでCDを購入。

Nuit d'etoilesNuit d'etoiles
(2000年01月20日)
Veronique Gens, Roger Vignoles

<収録曲>
フォーレ:
夢のあとで(Apres un reve,OP.7-1)/シルヴィ(Sylvie, Op. 6/3)/河のほとりで(Au bord de l'eau,Op. 8/1)/リディア(Lydia, Op. 4/2)/蝶と花(Le Papillon et la Fleur, Op. 1/1)/マンドリン(Mandoline, Op. 58/1, 歌曲集「ヴェネツィア」より)/月の光(Clair de lune, Op. 46/2/ゆりかご(Les berceaux, Op. 23/1)

ドビュッシー:
《3つのビリディスの歌》 (Chansons de BilitisL.90)
 1. パンの笛(La flute de Pan)、2. 髪(La chevelure)、3. ナイアードの墓(Le tombeau des Naides)
《 艶なる宴 第1集》(Fetes galantes SetⅠL.80)
 1. 声をひそめて(En sourdine),2. 操り人形(Fantoches),3. 月の光(Clair de lune)
星の輝く夜(Nuit d'etoiles, L.4)/美しい夕暮れ(Beau soir, L.6)/麦畑の花(Fleur des bles, L.7)/眠りの森の美女(La belle au bois dormant,L.74)/もう家のない子供たちのクリスマス(Noel des enfants qui n'ont plus de maison L.139)

プーランク:
《月並み(平凡な話)》(Banalites FP107)
 1. オルクニーズの歌(Chanson d'Orkenise)、2. ホテル(Hotel)、3. ワロニー地方の沼地(Fagnes de Wallonie)、4. パリへの旅(Voyage a Paris)、5. すすり泣き(Sanglots)
《ギヨーム・アポリネールの歌による2つの歌曲》(2 Mélodies sur des poèmes de Guillaume Apollinaire FP127)
 1. モンパルナス(Montparnasse)、2. ハイド・パーク(Hyde Park)
愛の小径(Les chemins de l'amour FP106)

ブックレットの解説によると、このアルバムはフォーレ、ドビュッシー、プーランクの傑作集で、収録曲はフォーレとドビュッシーは若い頃か初期の成熟期、プーランクは40歳代の作品。
・19世紀末から20世紀前半のフランスを音楽的な言葉で表しているのが”melodie”(歌曲)。それは一声の声楽曲で通常はピアノで伴奏され、短詩の魅力を高める(enhance)ことを意図したものとされる。
・このような量的・質的な豊かさをもたらすのに必要であったのは、第一に詩であり、シュリ・プリュドムから、ボードレール・ヴェルレーヌ・アポリネールなどを経て、エリュアールに至るまで、当時はフランス詩の最盛期であった。
・それだけでなく、これらの詩人は曲を付けやすい短詩(Lines)を書いていた。アレキサンダー格の拘束は忘れられ、ユーゴーの過剰に規定的な音律(prescriptive rhythm)や、詩自身に内在された音楽を持つ短詩も稀となった。
・つまり、詩文に独自の音律を与えるのは作曲者次第となった。
・このような詩人と作曲者の密接なつながりによって、賞賛されるべきペア(couples)が生まれた。ヴェルレーヌまたはプリュドムとフォーレ、ピエール・ルイスまたはヴェルレーヌとドビュッシー、そしてとりわけアポリネールまたはエリュアールとプーランク。

CDで聴くと試聴した時よりもずっと滑らかで澄んだ声質だったので、私の好きなタイプの声で良かった。甘すぎず、クールすぎず、適度な硬さと柔さと温かみがあってとても心地良い。(高音がもう少し柔らかくて伸びやかだったらさらに好きだと思う。)
ピアノは少し硬質で明るめの音色で情感も濃すぎず、こちらも好きなタイプ。ピアノの音量が結構大きいので、ソプラノに集中しないとピアノの方がよく聴こえてくるので、ピアノソロ聴いているような感覚になる。ピアニストはロジャー・ヴィニョールズ。ディスコグラフィを調べると主に伴奏での録音で、今井信子のピアノ伴奏もしていた。


<フォーレ>
収録曲のフォーレ歌曲はどれも好きだけど、「夢のあとに」と「蝶と花」は特に好き。
夢のあとに
3 Mélodies, Op. 7: No. 1, Après un rêve

Après un rêve Op.7 Trois mélodies/夢のあとに 3つのメロディ[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

蝶と花
2 Mélodies, Op. 1: No. 1, Le papillon et la fleur

Le papillon et la fleur Op.1 Deux mélodies/蝶と花  2つのメロディ[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

河のほとりで
3 Mélodies, Op. 8: No. 1, Au bord de l'eau

Au bord de l'eau Op.8 Trois mélodies/河のほとりで  3つのメロディ[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

ゆりかご
3 Mélodies, Op. 23: No. 1, Les berceaux

Les berceaux Op.23 Trois mélodies/ゆりかご 3つのメロディ[梅丘歌曲会館 詩と音楽]


<ドビュッシー>
ドゥヴィエルの歌うドビュッシー歌曲と同じく、ヴァンスの歌で聴くとドビュッシーはとても聴きやすくて好きな曲も多い。
ピアノパートはファンタスティックな旋律と和声で、ドビュッシーのピアノ曲に似たような旋律がいろいろ出てきて、ピアノ伴奏聴くだけでも面白い。

3つのビリティスの歌~「ナイアードの墓」
冒頭のピアノの旋律が《子供の領分》の「雪は踊っている」みたい。
3 Chansons de Bilitis, CD 97, L. 90: No. 3, Le Tombeau des naïades

Le tombeau des naïades L 90  Chansons de Bilitis/ナイアードの墓  ビリティスの歌[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

星の夜
Nuit d'étoiles, CD 2, L. 4

Nuit d'étoiles L4/星の輝く夜 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

美しい夕暮れ
Beau soir, CD 84, L. 6

Beau Soir L6 /美しい夕暮れ[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

眠りの森の美女
《版画》の「雨の庭」と似たような旋律が出てくる。どちらの曲もフランス童謡「(いやな天気だから)もう森へは行かない」を使っている。
La Belle au Bois dormant, CD 81, L. 74

La Belle au Bois dormant L74/眠りの森の美女 L74 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]


もう家がない子供たちのクリスマス
ドビュッシーが最後に書いた歌曲。詩はドビュッシー自身のもの。第一次世界大戦でドイツと戦争中の時期に作曲され、歌詞は幼子イエスに訴えるフランスの子供たち、孤児、ホームレスの祈り。この曲も「雨の庭」の旋律とちょっと似ているところがある。
Noël des enfants qui n'ont plus de maison, CD 147, L. 139

Noël des enfants qui n'ont plus de maison L139/もう家のない子のクリスマス L139[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
ドビュッシー最後の歌曲 「もう家がない子たちのクリスマス」で平和かみしめる[J-CASTニュース/トレンド/週刊「日常は音楽と共に」]


<プーランク>
音楽学者でプーランクの伝記を書いたアンリ・エルによると、プーランク歌曲の特徴は「言葉による心情を音楽によりふくらませ、ほとんど逐語的に言語を表現し、セリフの文章や詩の文章のすべての抑揚に従い、それを強調し、調和に溢れるひとつの総合体を形成していく。これがプーランクの方法である。すなわちプーランクの歌曲はそれぞれに「詩=音楽」(po􌍝etico-musical)の完璧な具体化を目指しているのだ。」(勝見巴「フランシス・プーランクの歌曲創造とその魅力 ―歌曲集􌞰画家の仕事􌞱より􌔗パブロ・ピカソ> を例として―」)

「プーランクの音楽語法、ピアノ曲の特徴について」[ピティナ・ピアノ曲事典]
・キャリアを通して調性感のある音楽語法を使用し、和声の複雑な連結や合成などを避けた明快な響きを特徴。
・プーランクは卓越したピアニスト。プーランクのピアノ演奏では特にサスティン・ペダルの多用が特徴的だったという。ピアノ作品にも「ペダルをたっぷり使ってbeaucoup de pédale」の指示が頻繁に見られる。
・ピアノのための作品、あるいは編成にピアノを含む作品は100曲以上あり、特に顕著なのはピアノを伴奏楽器として用いる作品で、その大半が声楽とピアノ伴奏の組み合わせ。プーランク自身も「ピアノ作品の書法で最も独創的なのが声楽作品のピアノ伴奏パートにある」と言っていた。

パリへの旅
歌詞を読まなくても、パロディみたいな面白くて可笑しい歌なのがわかる。
Banalités, FP 107: No. 4, Voyage à Paris

Voyage à Paris FP 107 Banalités/パリへの旅 月並み[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

モンパルナス
物憂げで美しい旋律。ピアノ伴奏がシンプルなので歌が引き立つ。
Montparnasse, FP 127 No. 1

Montparnasse FP127 Deux Poèmes de Guillaume Apollinaire/モンパルナス ギョーム・アポリネールの2つの詩[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
モンパルナス 1920年代のパリの中心地[パリ観光サイト「パリラマ」]

愛の小径
プーランク歌曲で最も有名な曲。元々は舞台劇《レオカディア》の劇伴音楽というのは今まで知らなかった。
Les chemins de l'amour, FP 106

Les chemins de l’Amour  FP106/愛の小径[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

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プロフィール

Author:Yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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