歴史小説の面白さ 

2007, 03. 10 (Sat) 13:01

先週NGOのボランティアに行った時、お昼ご飯を食べていたら、歴史小説の話になった。
私は歴史小説には、中学生~大学時代にかけて、かなりはまった人。
歴史研究家にあこがれたものだ。
高校時代には歴史科へ行きたいと思っていたが、その後なぜか哲学や倫理学に魅かれて、結局は社会学へとたどり着いた。
どうも哲学のような思弁的な学問より、社会構造や社会問題を対象とする社会学の方が性に合っていたようだ。

中学生時代は、NHK大河ドラマの「草燃える」がきっかけ。
永井路子の原作をベースにしたドラマだが、セリフが現代風とかいろいろ批判があった。
所詮現代日本人が見るドラマだし、別にかまわないんじゃないかと思いつつ、最終回までみてしまった。
岩下志麻の北条政子と石坂浩二の源頼朝のコンビが面白かったし、松平健の北条義時が若々しくて好きだった。

それをきっかけに日本史の面白さにはまり、戦国時代から幕末にかけて、歴史小説から歴史書まで歴史小説なら歴史書を読んでいった。
自分で買ったり、図書館が借りたりして、200冊くらいは読んだような気がする。

小学生時代には池田理代子の「ベルサイユのばら」が好きで、フランス革命史の本も読んだ。
フランス革命の歴史書なら、ミシュレのフランス革命が定評があるようだ。
中央文庫の「世界の歴史」シリーズに入っていた。
村上春樹がこの「世界の歴史」シリーズは、読み始めたらとまらないくらい面白いと絶賛していたが、たしかにフランス革命史は、小説のように面白かったと思う。

山岡壮八の「徳川家康」は26巻もあるシリーズもの。中学時代にはまった。
登場人物が膨大だが、それぞれの人物造詣が豊か。
これを読めば、ほぼ戦国時代~徳川政権初期の流れがわかってしまうという、大変勉強になる小説だ。
その歴史的解釈が妥当かどうか、私にはわからないことも多いが、読み物としてはとても面白い。

新撰組ものには、大学時代にはまった。
定番の司馬遼太郎「燃えよ剣」から始まり数十冊は読んだ。
今はもう読むこともほとんどないが、10回以上は読んだ本が多い。特に、「燃えよ剣」、三好徹「六月は真紅の薔薇」と広瀬仁紀「土方歳三散華」が好きだったし、今でも読み返すことがある。

幕末小説では、司馬遼太郎の「最後の将軍」と「峠」が面白かった。
徳川慶喜という極めてインテリで時流を読むのに敏い将軍家を持ったがゆえの徳川幕府の崩壊、という視点で、徳川慶喜の行動や内面を描いていたと記憶している。
河合継之助を描いた「峠」。当時としては日本人離れした主義主張や構想は、北陸の小藩には荷が重過ぎ、結局は新潟長岡藩を壊滅させてしまった悲劇。もし、幕末日本の行方を左右した大藩に生まれたなら..と思うほどに、時代を見通す洞察力と雄大な構想に、人物のスケールの大きさを感じる。

小説にはまると、次の段階は歴史書。
フィクションでは物足りなくなって”歴史的事実”を知りたくて、歴史書を読みたくなる。
歴史が面白いのは、”事実”が持つ意味を読み解いてくれること。
歴史上の事実は、ある視点で発生した出来事を再構築したもの。
歴史家によって、その視点が違うので、意味づけや解釈も異なる。
優れた歴史家は、その無数にある歴史的事象を切り取る視点の切れ味が鋭く、人間には抗えない”時代精神”をクリアにし、歴史的事象を一つのストーリーとして再構築する能力が高いのではないかと感じる。

今は、現代史の中でも、昭和初期から太平洋戦争にかけての日本と中国・韓国との外交史を読みたいと思う。
現代史は日本の歴史教育で最も弱い分野。
学校でもさら~としか教えないし、論争を呼びそうな部分は、ごくごく無難なとりあげかた。
最近の韓国・中国への反感が強いのはなぜかと不思議な気がする。
日本人は自己優越意識が強くて、夜郎自大なんだと思う。
特に戦前の歴史をちょこちょことかじり始めると、社会の底流に流れる”意識”は、あんまり今と変わっていないんじゃないかと思うくらい、優越感に溢れているようだ。
歴史は繰り返すという。
ホワイトヘッドは、歴史は振り子のようだと書いていた記憶がある。
大学時代に読んだ本に書いてあったから、記憶はあいまいだけど、歴史が右へ行くとその反動で左へいく。それを繰り返すのが歴史。
人間は歴史から学ぶというが、歴史体験は風化するし、世代が変われば体験は忘却される。
一体、過去に何が起こっていたのかという歴史的な”事実”を知り、その意味を考えることでしか、歴史から学ぶことはできないような気がする。

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