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新選組小説
NHK大河ドラマ「新選組」はほとんど見たことがない。
まるで学芸会とか酷評もあったようだが、最初2回ほど見ると現代風で面白いかも。
私は新選組小説を読んでいて自分のイメージを持っているので、それとドラマの登場人物像とは確実にずれていたので、結局、見る気が起こらなかった。
ずっと1年見続ければ、それも違ったかもしれないが。

新選組にはまったのは、大学生時代。数十冊を読み漁った。
その中でも、特に愛読した本がある。

司馬遼太郎「燃えよ剣」(上・下)
新選組小説の古典中の古典。
新選組の殺伐とした雰囲気を淡々と描いている。
本来、現代で言う機動隊兼内務警察的組織である新撰組は、このくらいの生臭さがあって当然だろう。
土方歳三の人物造詣が面白い。
なぜか多摩の百姓出身の彼が警察組織である新選組の運営のツボを心得て、大将役の近藤勇を支えている。
新選組時代の組織のオーガナイザー、”殺人組織の冷酷な副長”である彼の冷徹さ。
近藤勇と袂をわかったあと、各地を転戦して五稜郭で戦死する歳三の合理主義的精神と旧幕臣意識というアンビバレントな価値観。
幕府瓦解後の土方歳三は、西洋近代兵器の妙を理解し、かつ、インテリではない類い稀なる戦巧者なので、不思議と幕臣たちにも一目置かれ、兵士達には大人気。
新選組時代の冷酷さが嘘のように、その変化を書き分けているところが面白い。
おまけに架空の人物である恋人も出てくるので、それなりに彼の”可愛い”ところが描かれて、クスっと笑えるシーンもあり。
倒れゆく幕府を支えた新選組の元副長は、滅び行く運命でしかなかった。
それなのに、私にはなぜか清涼感が残る小説だった。

燃えよ剣 (上巻) 燃えよ剣 (上巻)
司馬 遼太郎 (1972/05)
新潮社

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三好徹「六月は真紅の薔薇」
このタイトルが洒落ている。
60年代安保闘争時代に若者たちが愛唱した作者不詳の詩の一節だそう。

安保闘争って若い人はわからないでしょうね~。
立花隆の評論を呼んでいると、当時は国会やらアメリカ大使館に火炎瓶を投げ込んでいたらしい。
日本人(当時は、若者と労働者)がそんな過激な活動をしていたなんて、今の人を見ていたら信じられないかも。
それに比べて、昨今の中国での反日運動なんか穏やかなもの。

この小説は、沖田総司の一人称小説。
総司の内面描写は叙情的だが、メロっとした感傷はない。
時代の流れと運命には逆らえなかった彼の諦観が流れているように感じた。
歳三と総司の関係はまるで兄弟のような親密さがあって、「燃えよ剣」とは全く違う味わい。
特に、沖田総司との関係を描いている中で、土方歳三の内面的葛藤が吐露されているシーンがうまい。
組織を支えることは、自分自身の感情を殺して、組織の論理を貫徹するものなのか、と納得してしまった。
この本が一番好きで、10回以上は読んだはず。

沖田総司―六月は真紅の薔薇〈上〉 沖田総司―六月は真紅の薔薇〈上〉
三好 徹 (2003/01)
学習研究社

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私は講談社文庫版を読んでいたが、もう絶版になったんだろうか。

広瀬仁紀「土方歳三散華」
ちょっとユーモアのある土方歳三の描き方。
いろんなエピソードが積み重なっていて、土方歳三像としては新鮮。
沖田総司が飄々としていて、そのコンビが面白い。
「沖田総司恋歌」もあるが、「土方歳三散華」ばかり読んでいた。

土方歳三散華 土方歳三散華
広瀬 仁紀 (2001/03)
小学館

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大内美予子「沖田総司」「土方歳三」
これは大甘小説。女性なら感動するだろうが、情緒過剰。
と言っても、私は大学時代にとても気に入って、何度も読んでいたが。

土方歳三 土方歳三
大内 美予子 (2004/01)
新人物往来社

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和田慎二「あさぎ色の伝説」
小学校時代に愛読したマンガ。
マンガとはいえ、新選組のコアとなる旧試衛館メンバーの人物造詣はとても面白い。
わたしの新撰組像と登場人物像は、このマンガで培ったようなもの。
完結編まで見ていないけど、結局、最後はどうなったんだろうか。
もう絶版中で古本しかない。プレミアムつきの高額商品になっている。
私は第1~3巻は小学生の時に買って、古くなってもまだ大切に持っている。
第4巻だけが、3巻発行から10年後に発行されたらしい。
4巻だけ欲しいのに古本ではなかなか見つからない。

管宗次「俳遊の人・土方歳三 句と詩歌が語る新選組」
土方歳三の俳句は、お世辞にも上手いものではない。
「梅の花 一輪咲いても うめはうめ」という彼の作った俳句がある。
そりゃそうでしょう、というしかない俳諧。
不思議なユーモアを感じてしまった。
泣く子も黙る新選組副長・土方歳三像とのズレが面白い。

俳遊の人・土方歳三 句と詩歌が語る新選組 PHP新書 俳遊の人・土方歳三 句と詩歌が語る新選組 PHP新書
管 宗次 (2003/12/16)
PHP研究所

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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