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ベトナム写真集
写真集や画集を見るのが好きなので、ベトナムに関するものも少し持っている。

ベトナムに関する写真で有名なものはいろいろあるが、写真集で最も好きなのは大石芳野写真集「ベトナム凛と」
結構な値段がするが、それだけの価値はあった写真集。
ベトナム戦争中ではなく、戦争後の人々を追った写真。
ベトナム戦争が終結すると、特派員たちやカメラマンは潮が引く様に去っていった。
その後は、ベトナムが中越戦争やカンボジア侵攻に突入して国際的に孤立していった。
彼女はそれでもずっとベトナムを追い続けていたようだ。
この1冊があれば十分とは言わないまでも、ベトナムの人、街、自然、戦争の後遺症など、ベトナムのいろいろな表情がわかる。

彼女のとる写真は、鋭くシャープな一瞬を切り取るというタイプではなく、撮る対象の内面を滲み出させるような自然な感じがする。
彼女が撮影した写真からは、表情やまなざしが語りかけるような感じがする。
特に子供の写真がいい。
人懐こい気さくそうな女性が撮る写真は、撮られる方も自然体になるんだろう。
男性カメラマンならこういう写真が撮れるかどうか。
戦争がらみでは、「コソボ絶望の淵から明日へ」という写真集も出しているが、やはりベトナム写真集が彼女の代表作だと思う。

ベトナム凛と―大石芳野写真集 ベトナム凛と―大石芳野写真集
大石 芳野 (2000/10)
講談社

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ベトナム戦争の有名な写真はたくさんあるが、日本人写真家なら沢田教一の写真だろうか。
沢田教一の一生を追った青木富貴子の「ライカでグッドバイ―カメラマン沢田教一が撃たれた日」はノンフィクション。
伝記ではあるが、当人はすでに亡くなっているので、関係者に取材を重ねていって作り上げた沢田教一像。
彼の人生の歩き方が普通ではないので、次はどうするんだろうか、と思いながら一気に読んでしまった。
ベトナム戦争は彼をカメラマンとして成功させたのだろうが、その成功が逆に重しのようになって、より衝撃的な瞬間を追い続けさせたのか。
戦場から離れたくても、戦場が彼を放さなかったのか。

彼の写真集は、妻である沢田サタの手による「泥まみれの死―沢田教一ベトナム写真集」として刊行されている。
絶版だったが1999年に再販されたもの。
今日amazonから届いたばかりの写真集。
文庫版でこれだけの写真集が手に入るとは。大半は彼が撮影した戦場の写真。
有名な「安全への逃避」や「泥まみれの死」はもちろん、数百枚の写真が掲載されている。
どこかで見たことがある写真もあるが、大半は初めて見るものばかり。
彼を知っている当時のUPIの同僚や上司の追悼文、サタ夫人のあとがきなどもあり、ノンフィクション小説とは違う身近さと戦場を経験した人たちのリアリティを感じる。
沢田教一は、ピュリッツアー賞を撮った「安全への逃避」の2つの家族を1年かけて探し出し、賞金のうちから1年間の生活費相当額をそれぞれの家族に贈ったという。
今のベトナムの緑が生い茂るのどかな農村の風景を思い出しても、ほんの30年前にはこの写真のような戦場だったとは想像もできない。

泥まみれの死―沢田教一ベトナム写真集 泥まみれの死―沢田教一ベトナム写真集
沢田 サタ (1999/11)
講談社

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ベトナム戦争からはなれたら、いい写真集はあまりないような気がする。
「サイゴンの昼下がり」は表紙の写真が特に有名。
白いアオザイで颯爽と歩く女性。
中身は現代ベトナムの街の様子など、ルポルタージュ的な感じのする写真集。
アジア的な混沌さを感じさせる、赤っぽさと黒っぽさが入り混じった、ざらついた感じのする写真が多かったような気がする。

サイゴンの昼下がり サイゴンの昼下がり
横木 安良夫 (1999/01)
新潮社

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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