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世界の社会起業家の事例集
「社会起業家」、「ソーシャル・アントレプレナー」という言葉がよく使われているが、その定義がもう一つよくわからない。
社会的な事業というイメージからは、福祉・教育・環境・人権といった分野が対象になりそうだが、最近の事例として取り上げられている事業をみると、そう簡単に分野わけできるものでもないように思える。

社会起業家フォーラム代表田坂広志氏によれば、概ね、2つの意味で使われてきたという。
1つは、「社会」という言葉に着目して、”一般の「起業家」のように「営利」を目的として活動するのではなく、「社会への貢献」を目的として活動する人々”という意味で使われる。
もう1つは、”社会奉仕や慈善運動を行う一般の「社会活動家」のように「寄付」や「補助金」に頼って活動するのではなく、「事業としての持続性」のある活動を行う人々”という意味である。
この2つの意味を重ね合わせると、これまでは、”医療、福祉、環境、教育、文化などの社会サービスの分野で、起業家精神と起業能力や経営能力を発揮して現在の事業の革新や新しい事業の創造を行っていく人々”という意味だったとのこと。
ただし、彼は今後はこの意味を超えていき、個人・法人等を問わず、”「社会貢献」や「社会変革」の志を持ち 、「現在の事業の革新」や「新しい事業の創造」を通じて「良き社会」を実現しようと行動する人々”へと広がるとも言っている。

社会起業家を取り上げた本は、このところ相次いでいるが、事例として一番多いのは、「未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家」
80人といっても、4~5ページにわたって詳しく紹介されているのは、30人ちょっと。
残りは半頁~1頁程度で簡単に紹介されている。
既存の社会起業家に関する本よりも、既存ビジネスを改革して新しいビジネスモデルを創造したような”実業”に関する事例が多いような感じがした。
巻末には、彼らの活動を詳しく知るためのURLやサステナブル・ディベロップメント関連の情報サイトリストがあって、ガイドブックとしてはかなり使えそう。

ここに登場する日本人は、合鴨農法で有名な吉野隆雄さんとサラヤ社長の更家祐介氏。
サラヤの売上げが218億円と書いてあり、どうしてそれほどの売上げが上がっているのか不思議で内訳を知りたかったが、IR情報が全くない。上場していないのでIRは必要ないからかな。
スーパーにはサラヤ製品はあまり置いていなかったような気がする。
少なくともそこらの小さいスーパーでは置いていないだろう。
洗剤、甘味料とも大手メーカーのよりもかなり高い。
敏感症の人とか、糖尿病や肥満症の人には良いと思うが、一般の人ならよほど健康意識の強い人、環境意識の高い人が購買者層だろうか。
最近は健康食品のネットショップが発達しているので、そちらのルートの方で売れているのかもしれない。
無添加石鹸や洗剤なら、太陽油脂のパックスナチュロンとかの方を良く見かける。
以前良く使っていたが、これも結構価格が高い。
界面活性剤を使っている大手メーカーの化学洗剤の2~4倍くらいの価格の製品が多い。
こういう商品を買う層と買わない層が結構はっきり分かれているような気がする。
その割りに、高級化粧品には結構なお金を投じる人が多かったりする。

未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家 未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家
シルヴァン・ダルニル、マチュー・ルルー 他 (2006/09/21)
日経BP社

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「チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える」
日経BP社から出ている。起業家というより、社会活動家的な人が多いような気がする。
面白いと思ったのは、コモングラウンド・コミュニティ。
ホームレス専門の敏腕・住宅再生デベロッパーだが、荒れ果てた建物をホームレスのための住宅に再生することが、地域再生にもなった事例。
初めは、こういうのを社会起業家というものだと思っていた。
他にも、アショカ財団、インテグレックスの秋山をね、ソーシャル・ベンチャーのインキュベーター・アキュメン・ファンド、貧困者のための格安医療事業プランナーとかが紹介されている。
その他には、国境なき医師団が入っているが、寄付金で活動しているだけで起業ではないだろうし、インターニューズ、国境なき記者団、ヒューマンライツウォッチ、暫定司法国際センターなど、政治的な活動も入っている。
この本は、かなり広い分野の活動が社会的起業としてくくられてしまっているが、起業というよりも、既存の社会システムやビジネスの革新者=リフォーマーという意味の方が良いような気がしてきた。

チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える
渡邊 奈々 (2005/08/04)
日経BP社

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「社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流」
岩波新書だけあって、事例紹介もあるが、社会起業家とは何かとか、社会起業家が注目される社会的なトレンド分析も入っている。
社会起業家について事例以外も知りたいのなら、この本が入門書にはいいかもしれない。

社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流 社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流
斎藤 槙 (2004/07)
岩波書店

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「ネクスト・マーケット」
ウォートン経営戦略シリーズに収録されている。
社会起業家という視点ではなく、貧困層を対象としたビジネス戦略として、ケーススタディ分析をしている。
「コア・コンピタンス経営」の著者であるプラハラード教授が執筆している。
ビジネス戦略が専門の教授による本だけあって、貧困層をターゲットとするためのビジネスモデルの要諦や12件の詳しいケーススタディで構成されている。
やたらインドのケーススタディが多いのが気にはなるが、日本や海外の著名企業のビジネスモデル解説本を読むよりも、ずっと面白いと思う。

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略
C.K.プラハラード (2005/09/01)
英治出版

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「ドイツを変えた10人の環境パイオニア」
「通販生活」にドイツのアウロ社の植物性ワックス(石油系化学物質不使用)が載っていたので、調べてみるとこの本に紹介されていたもの。
環境ビジネスよりも、環境負荷の低い社会システムに関するものが多いが、10年前の本なので、今はもっといろんな事例があると思う。
日本も個々の地域レベルでは環境ビジネスやシステム改革の成功事例はあると思うが、社会全体のシステム改革を先導したり、象徴するような影響力のあるものが少ないのかもしれない。

 1 ブロック・コジェネレーションブームの火つけ役
 2 太陽エネルギー利用の普及に活躍する「エコ建築家」
 3 使い捨て容器税を導入した税務局員
 4 車のない住宅地実現に立ち上がった市役所員
 5 バケツ一個で町を「環境首都」にした自治体職員
 6 環境に配慮して村を失業と過疎から救った夫婦
 7 ゴミのない学校を実現させた小学校長
 8 「企業の環境管理」の提唱者
 9 環境と人間にやさしい企業を完成させた化学者 (→アウロ社のこと)
 10 ユニークなアイデイアで成功したNGOリーダー

ドイツを変えた10人の環境パイオニア ドイツを変えた10人の環境パイオニア
今泉 みね子 (1997/11)
白水社

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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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