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寄付金控除制度の効果について
寄付金控除制度とは

巷の提言書では、個人寄付の促進のため、所得税の寄付金控除の拡大が大抵は入っている。

所得税の寄付金控除とは、個人が支払った特定寄付金(公益的な活動を行う団体等への寄付金)は、5千円を引いた金額を総所得金額から控除できる制度である。

この制度のポイントは、

課税所得控除であって、税金から控除される税額控除ではない。
5千円以下の寄付は控除できない。ただし、H18年までは1万円以下だったので、改善はされているが。
NPO法人へ寄付した場合は、認定NPO法人への寄付しか控除できない。認定NPO法人は約60団体。(NPO法人は約25000団体)
寄付控除額の上限額は総所得額の30%。
確定申告を行うことによって、寄付金控除の適用が受けられる。年末調整では寄付金控除はできない。

たしかに寄付金が控除されないよりは、控除される方が良いには違いない。
ただし、この控除の恩恵を受けるためには、5000円を超える寄付が必要で、釣銭寄付や共同募金にコイン募金しても控除対象にはならない。

寄付金控除によって還付される金額は

個人寄付を促進効果については、一般的には収入が高い人ほど所得税率も高いので、寄付金控除による還付される金額も大きい。
実際には、扶養家族控除等があると、扶養家族が少なかったり、独身者だったりすると、同じ収入でも税率は高くなる場合はある。

一方、収入が低ければ所得税率も低いので、たとえ所得税率の高い人と同じ金額を寄付していても、還付金額は少なくなる。

還付される金額を単純に計算してみると、
寄付金5000円⇒還付金なし
寄付金1万円⇒5千円を差し引いた金額が控除。税率5%の人なら250円、税率20%の人なら1000円が還付される。
寄付金100万円⇒税率5%の人なら49,750円の還付。税率20%の人なら199,000
円が還付される。(実際には、税率5%の人が100万円寄付することはほとんどありえないので、あくまで還付金の多寡を見るための計算)

寄付金額が少ないと還付金も少なくなる。
寄付金控除による寄付促進効果は、寄付金額の多さと所得税率の高さに比例するように思う。
そもそも、”後から1000円くらいが還付されるから1万円を寄付しようか”というものでもないだろう。
元から寄付する意欲のある人は、その程度の還付金があろうがなかろうが寄付するものは寄付すると思う。
1万円寄付するつもりの人が、1000円還付されるから11000円を寄付する可能性はあるかもしれないが、実際にはあまりそういう細かい計算はせずに、切りのいい数字の1000円、3000円、5000円、1万円、とかが多いような気がする。
また、3000円寄付するつもりの人が、5000円を超えれば還付が受けられるから寄付金を増やそうという行動にはならないと思う。寄付行為は、まとめ買いのセール品を買うのとはワケが違う。

それに、確定申告するのはかなり面倒。
医療費控除等の他の控除も申告する人ならば良いが、単に数十円とか数百円の微々たる金額を寄付金控除で還付してもらうために、わざわざ確定申告する人は多くはないだろう。

数十万とか、数百万円を寄付する人は、元から余裕資金が多い=収入が多いはずなので、所得税率も高く還付金が多い。
その還付金相当分を上乗せで寄付するという可能性はある。実際にそういう行動に出るのかは、アンケートなり統計データがないとわからないが。

寄附の価格弾力性と所得弾力性
実証研究の盛んな米国では、寄付の価格弾力性と所得弾力性に関するデータが多いようだ。
日米の比較データを調べたところ、「非営利セクターと寄付税制」(財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」October-2002、跡田直澄・前川聡子・末村祐子・大野謙一)に載っていたのを見つけた。

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日本のデータの原典は、山内直人著「ノンプロフィット・エコノミー―NPOとフィランソロピーの経済学」(日本評論社, 1997年7月)らしい。(原典を確認していないので、確実にそうだとは言えないが)

上記の表では、日米ともに寄付金の価格弾力性はマイナスであり、所得弾力性はプラスである。
従って、両国とも、寄付は、価格(寄付金額)の下落もしくは所得の増加に対して増えるということになる。
ただし、日本は、価格弾力性の絶対値が大きいので、個々の寄付金額が増えにくい傾向がある。
一方、所得弾力性の方は米国より低く、所得が増えても寄付額はさほど増えにくいという傾向になる。

つまり、日本の寄付金額は小額が多く、たとえ所得が増えても寄付金はあまり増やさないという文化のようだ。

認定NPO法人にとってのメリット
寄付金控除が拡大されることによる認定NPO法人の場合のメリットは
認定されていないNPO法人への寄付と違って、寄付金控除の還付が受けられるというメリットを強調できる。
NPO法人が雨後のタケノコのように出来ている現状では、寄付金控除が適用される認定NPO法人は、ブランド力と信用力で他団体と差別化できる。
寄付金控除による所得税還付額相当分か、そのうちの幾ばくかの額が、寄付金に加算してもらえる可能性がある。元々100万円寄付するつもりの人が、税金還付があるので、120万円寄付してくれるかもしれない。

寄付金の統計データや研究論文はいろいろ公表されているので、寄付に関する日本と外国との違いについてもう少し調べてみたい気がしてきた。
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(非公開コメント受付中)

second life での募金活動 その2
台風のカテリーナの募金の記事があったので、忘れないうちに、ペタしときます。2005年9月の記事です。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4219030.stm
ありがとうございます
「Red Nose Day ~イギリスの募金キャンペーン 」という記事で、Second Lifeでの募金活動のことをまとめました。
Second Lifeを活用した新しい寄付方法も、これからだんだんと増えていくような感じがします。

Second Lifeの日本語版がリリースされるそうですので、同じような寄付ルートとしての使い方が広がるか興味がありますね。
日本語版というのは、日本語しか話せない人(つまり日本人)向けのサイトのことですよね?

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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