米国人の寄付金額と寄付金控除制度 

2007, 03. 23 (Fri) 20:21

米国人の寄付金額
米国人は、1世帯あたり年間1,620ドルの寄付をしているという。
日本円で実に19万円近くになる。
kihu.jpg
出展は、「日本のNPO/NGOにおけるファンドレイズ機能とその発展ストラテジー」

他に米国の寄付金額のデータを持っていなかったので、これが本当なのかどうか疑問だった。
いろいろ調べてみると、「アメリカのNPO税制」(岩田陽子、レファレンス2004年9月号)で、米国の税制制度と関連させたデータが載っていた。

kihuusa.jpg

これをみると、概算控除選択者では、1人で年間551ドル(約6万5千円)を寄付している。

また、INDEPENDENT SECTORのレポート(2000年)では、概算控除を選択する世帯の平均寄付額は1,310ドル、項目別控除を選択する世帯は1,800ドルだそうだ。
一番初めに書いていた1世帯あたり1,620ドルというのは間違いではなかった。
データソースが同じINDEPENDENT SECTORなので、数値的には当然といえば当然。
検証のため、上記のGiving USAの寄付金控除データから見ても、平均的な所得者層で1人500ドル寄付している。
1世帯3人で換算すると、年間1500ドルくらいにはなる。

米国の寄付金控除制度
米国の所得控除制度では、概算控除(standard deduction)と項目別控除(Itemized dedcution)のどちらかを選択する必要がある。
寄付金控除の適用が受けられるのは、項目別控除(Itemized dedcution)を選択した場合だけである。

「アメリカの連邦所得税においては、納税者は、必要経費の控除として概算控除と実額控除である項目別控除を選択できる。寄付金控除は、項目別控除を選択した場合にのみ利用することができる。概算控除は7割程度の納税者が選択し、項目別控除は、高所得者が選択する割合が高い。項目別控除を選択する一般的な所得層の納税者では住宅ローンの支払利息が控除額の大きな割合を占めるが、高所得者の場合には慈善寄付金の割合が大きくなるといわれている。」(「アメリカのNPO税制」より)

つまり、米国では、平均的所得層の納税者の7割は寄付金控除を受けない選択をし、寄付金控除を選択してその恩恵を受けているのは高所得者である。
そして、高所得者層の寄付金額が全体の8割近くを占めている、ということになる。

ただし、米国では給与天引きによる寄付が普及しており、控除申告手続きなしに自動的に控除されるという。
これと概算控除制度との関係が不明。
概算控除と項目別控除は毎年選択できるので、項目別控除を選択した人だけが寄付金控除を受けられるということかもしれない。

見送られた概算控除選択者への寄付金控除適用
この点について、ネット検索で、”Bush Budget Fails to Support Non-itemizer Deduction”という記事があった。
ブッシュ政権が、項目別控除を選択していない納税者(概算控除選択者)にも寄付金控除を適用する税制改正案を提案していたが、取り下げたというニュース。
Unitedwayへの募金者のうち、41%は項目別控除を選択していないため、寄付金控除を受けていないという。
ちなみに寄付金控除を拡充適用しても、寄付金が4%以上増加することはありそうにない研究結果が出ている。

Unitedwayは給与天引き寄付が多かったはず。
やはり、給与天引きであっても、寄付金控除を受けられるのは事前に項目別項控除を選択していた納税者のみということになるのだろう。

日本と米国の寄付行動の違い
日本では個人寄付を拡大するために、寄付金控除制度の拡充が必要という提言が溢れている。
しかし、アメリカ人は寄付金控除の適用を受けない人でも、1人で年間551ドル(約6万5千円)を寄付している。

結局、寄付するかどうかは、何よりも寄付することがごく普通の行為である文化と個人の志の問題だと思う。
日本の場合は、寄付の所得弾力性が非常に低いため、高額所得者層の寄付が少ない。
1人あたりの寄付金額が少ないことに加え大口寄付も少ないことが、米国の寄付金額にはるかに及ばない日本の現状を言い表しているように思う。

寄付対象分野の特徴
ただし、寄付先の分野を見てみると「非営利セクターと寄付税制」のデータでは、米国では7割近くが宗教団体。
日本人も、宗教団体には、法要時のお布施、新興宗教団体の会費など、結構なお金を費やしているはず。

お布施はどちらかというとサービスの対価になるので、寄付金とはいえないかもしれない。
しかし、お布施が無ければ寺院経営が成り立たないのと同様、教会も寄付がなければ成り立たないんじゃないだろうか。
そういう意味では結局同じこと。もう少し調べてみないといけない。

タグ:NGO

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment