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ボランティア控除
米国のボランティア控除制度
米国の寄付金控除制度を調べているときに、ボランティア控除という費目があることを知った。

日本の文献では、「米国におけるボランティア活動―その理念と実態―」(財)自治体国際化協会)というレポートにも、少し説明がある。
そのレポートによると、控除できるボランティア活動経費とは、

「ボランティア活動に係る経費についても、交通費、ガソリン代等を必要経費として、確定申告時に課税標準から控除できる。非営利団体に対して行ったボランティア活動の際に発生した旅費(ガソリン代を含む)や電話代などの実費について、非営利団体がその費用を負担しない場合については、実費分は寄付金と見做され、所得控除の対象となる。また、非営利団体の斡旋による高校生までのホームステイに係る費用については、同様に月50ドルまでは、寄付金控除として申告できる。」>

「アメリカのNPO税制」にも、「ボランティア活動に伴って支出した旅費、交通費、宿泊費(内国歳入法第170条(h)(i)項)、役務のためのみに使用する制服、作業服などの費用(財務省規則1.170(g)) は一定の基準により控除できる。」と書いている。

日本のボランティアの活動経費
日本の国際協力NGOに関していえば、普通はボランティアへは交通費は支給していない。
アメリカのボランティア控除の対象経費に、いわゆる通勤交通費が入るのかどうかわからないが。
月1回程度ボランティアに来る人や、通勤経路上にNGOの事務所がある場合は、定期で通えるので、大した負担ではない。
通勤経路とは違う場合は、交通費だけでも結構な額になる。
以前、定期を持っていなかったので、週2回ほどボランティアに行くと月8000円くらい交通費を払っていた。
時間を提供するのはもとから出費があるわけではないが、交通費は実費なので年間で10万円近くになる。
寄付金も合わせれば年間20万円以上を実質的に寄付しているような気がした。
自腹を切る点では寄付金と同じなので、寄付金控除の対象にならないともいえなくはない。
ボランティア活動が日常的で促進することを政策目的とする米国ならこういう控除もありえるだろうが、日本ではボランティアは無償行為。
所得税のボランティア控除という発想を期待するのが元々難しい。
時間=人件費を提供するのはボランティア行為そのものだが、そのために発生するコストは、ボランティア活動の必要経費。
実費負担もボランティア活動の一部というのでは、負担が多くならないような活動や行動範囲になってしまう。


介護ボランティア控除
いろいろ調べていると、厚生労働省が「介護ボランティア控除」というのを検討していたことがあったが、結局見送ったとのこと。
この制度は、一定量のボランティアを行った高齢者の介護保険料を控除するもので、元々は東京都の稲城市と千代田区が共同提案したそうだ。
原案では、週1回3カ月以上ボランティアを行った者が申請書を提出すれば年間5000円程度の控除が受けられる仕組みだったらしい。
賛成意見もあったが、それよりも反対意見が強かったようだ。
反対意見では、「ボランティア活動に馴染まない対価的性格があり、本来意義が薄れる」や「保険料は所得に応じて決定されるもの。ボランティアに参加した者の保険料を参加しなかった者に負担させることになる」というのが中心。
ボランティアという名前が付くと、日本人にとっては、無償奉仕の世界になってしまう。

介護支援ボランティア特区
厚生労働省が見送ったためか、平成18年6月には稲城市が「介護支援ボランティア特区」を提案した。
この特区は、介護保険料控除「(仮称)介護支援ボランティア控除」創設する内容。国が制度を作れないなら、特区で制度を作ってしまおうというもの。

<控除要件>
時間数:「年間36回以上(1回2時間程度)」または、「3カ月以上継続して週1回(2時間)12回程度」参加すること。
ボランティア活動:「レクリエーション指導、参加支援」、「お茶だしや配膳、下膳の補助」、「散歩、外出、館内移動の補助」、「話し相手」など。
対象事業;介護保険施設、地域支援事業、ハンディキャブ(ボランティア移送)、高齢者会食会など。

年間5000円しか控除されないにしては、結構な時間数のような気がする。
時間単価にして、70円~200円くらい。
他にすることのない暇な人なら良いだろうが、それでも継続するということはそれなりの根気が必要になる。
きちんと活動するのであれば、外部サービスで実施した場合と比べて、その数倍の金銭的価値があるだろう。
そう考えれば安上がりなんだろうが、ボランティア活動は個人の能力と意欲に左右される部分が多い。

この提案のボランティア控除が難しいのは、ボランティア活動自体を金額に換算してしまう点。
米国の所得控除制度は、あくまで経費しか控除できない。
ボランティア行為自体は、レベルも質もばらばら。
保険料控除の対象となるボランティア活動を明確にしないと、あるいは、したとしても、不公平感が出てくるのは避けられない。
また、これで保険料収入が減ってしまえば、保険料を支払っている人にその分を転嫁しないといけないことになる。
この制度を作った人たちは、そもそも、それほど多くの人が頻繁に介護ボランティアをするなどとは、はなから思っていないのだろう。

ボランティアポイント制度
介護の相互互助システムを地域内で作ってポイント制にし、そのポイントを使って介護を受けられるという方法は以前からあった。
フロリダ州マイアミでボランティアポイント制を導入しているようだ。この制度を真似て「時間預託制度」を開始したのが、ニッポン・アクティブライフ・クラブ。会員であれば、指定されたボランティア活動を行えば、必要なときにそのポイントを使ってサービスを受けることができる。
実際どの程度の規模で運用されているのかわからないので、効果のほどはなんとも言えない。
牛久市でも、ボランティアポイント制をしてみたが運用しきれなかったので止めてしまったと、市長自ら言っているくらいだ。

保険料という原資がない民間団体では、金銭によるリターンではなく、ポイント制でないと成り立たない。
ポイント制の利点は、相互に介護活動自体を提供することになり、金銭による対価性が薄められることと、原資がなくても運用できることにある。
ポイント制であっても、実際は介護支援活動を金銭的に換算していないとはいえないが、システム上、特定の行為としてしか相互に提供できないため、それほど不公平感もないのだろう。
人によっては、ひたすらポイントがたまる一方で、使う機会がない人も出てくるだろう。
もったいないような気もするが、そもそも使う必要に迫られないということは、元気だという証拠。
それはそれで喜べば良いような気がする。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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