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減り続ける日本のODA予算
日本のODA予算が、実に24年ぶりに世界3位に転落した。

経済協力開発機構(OECD)の発表によれば、加盟22か国の2006年ODA実績では、日本は前年比で11.7%減の116億1000万ドル。
それでも1兆円以上あるが、人口が日本の半分しかないイギリスにとうとう抜かれてしまった。
1982年に日本は4位だったそうだから、実に24年ぶりの出来事。
イギリスは国際機関向けの援助を増やしたそうだ。

将来的に不可避な財政逼迫で、ODAというリターンが明確でない事業に対して巨額の資金を出す余裕が無くなり、内向きになっていく日本を象徴しているようだ。

生活水準自体はどこをひっくり返しても、ODA対象国の平均レベルよりははるかに上だが、日本は日本なりに現在の生活水準を維持・向上させざるを得ない。
ヨソの国にお金をばら撒いている余裕はなくなっている。

日本は円借款が中心なので、円借款の返済分が新規の円借款と相殺されるため、いくら新規のODAを増やしても、差し引きした実質ベースでは、なかなか増えない、という話しを聞いたことがある。
調べてみると、OECDのデータは円借款返済分を差し引いた支出純額ベース。
無償援助が中心の欧米諸国とは、純額ベースで見ると数字上では不利になる。
円借款返済分を相殺しない支出総額では、米国に次いて2位だそうだ。

この前asahi.comで、「国際機関の選挙に勝つぞ!外務省に「選対委員会」」という記事を見た。
このところ、連戦連敗の国際機関選挙。
以下、asahi.comの記事を引用すると、

■国際エネルギー機関(IEA)事務局長 06年12月
○田中伸男・経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長
×ジョーン・マクノートン英貿易産業省局長(英国)

■世界保健機関(WHO)事務局長 06年11月
×尾身茂・WHO西太平洋地域事務局長(3回目の投票で落選)
○陳馮富珍(マーガレット・チャン)・WHO事務局長補(香港)

■国際電気通信連合(ITU)電気通信標準化局長 06年11月
×井上友二・NTT取締役(決選投票で落選)
○マルコム・ジョンソン英通信庁国際調整官(英国)

■経済協力開発機構(OECD)事務総長 05年11月
×竹内佐和子・世界銀行エコノミスト(2次選考で落選)
○アンヘル・グリア元財務相(メキシコ)

と、名だたる国際機関の選挙で落選が続く。
人選が悪かった、対抗馬が強すぎた、選挙対策が不十分とか、原因は複合的なのだろうが、ここまで負け続けると構造的な問題のように見える。
元から国際社会での日本の政治力は微力なので、経済力だけが日本の影響力の源泉。
その経済力が低下すれば、国際社会での日本の影が日増しに薄れていく先行きを暗示しているようだ。
今年も大きな組織の選挙がいくつか予定されている。
どういう結果になるだろうか。

これを国際協力NGOの世界で例えて言えば、日本は欧米の巨大NGOの資金源の一つ。
寄付金額自体は彼らの資金力からみてそれほど多くはないとはいえ、ユニセフ協会(国際児童基金へと資金が渡る)も含めれば、日本人が国際協力分野で寄付金として拠出している金額は数百億円にはなる。
資金をいくら供給していても、日本人や日本の組織に還元されることは少なく、欧米のNGOの組織・人材強化に貢献しているようなもの。

かといって、日本国産のNGOでは、活動範囲も限られているし、寄付をしたいと思っている人たちのいろんなニーズに十分応えられるほどのキャパシティはない。
そもそも、現地の人にとっては、誰が活動主体かなどは、大した問題でもないだろう。
結果的に寄付金が有効に使われるのなら、日本のNGOかどうかなどにこだわる必要はない、という考え方もある。

結局、お金をいくら出しても、人も育たず、影響力も大きくならないという構図は、国際機関でも国際協力NGOでも変わらない。
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(非公開コメント受付中)

明治時代の日本は ……
今よりも遥かに強い劣等感を持っていたと思います。

それが今では建築家は国際的な舞台に次々と進出、
世界的評価を受ける邦画が続出、
フランスでは和の食材ブーム、
マツザカはNYの新聞の一面を飾るなど、
単なる物真似民族であればここまで活躍できないと思います。

多くの欠点はあるにしろ、
日本人は大いなる可能性を持った集団だと思うので、
私は人材の面ではかなり達観しています。

投資ファンドの世界と同様、
世界の舞台で鍛えられた日本人が増えるにつれ、
日本初の世界的NGOが生まれてゆくのではないでしょうか。

緒方貞子 元国連難民高等弁務官や伊勢崎賢次 氏の功績を
見る限り、国際貢献の分野でもより多くの日本人が活躍し、
人材が育ってゆくと確信しています。

私はNGOが日本国産かどうかには頓着しませんが、
活力があり人材を育てられる日本社会かどうかは重要と思います。

そういった観点から見れば、選挙対策は小手先の策に過ぎず、
オランダのように国際支援の中心地となって広く各国の人材を
集めて国際貢献する方策を考えるのが良いでしょう。
日本のNGOで人が育つかどうか
たしかに過去よりも留学や海外で働く機会は増えていますし、人材は累積していくので、今よりは国際貢献分野で活用する人材が増えるのは当然ですね。

しかし、日本だけがそういう環境にあるのではないですから、日本よりも国際的に通用する優秀な人材が輩出できる国が増えれば、相対的に日本の地位や競争力が落ちるだけのことだと思います。

「日本初の世界的NGO」とは、日本人が海外で作るというのなら、いくらでもありえるでしょう。国内ではまず無理です。
日本のNGOでの人材育成という話しをされているのではなさそうなので、そういう意味でいえば、官公庁や企業でも優秀な人材を輩出する力は日本社会にはあると思います。

私の関心は国際協力NGOなので、その点に絞って言えば、組織の脆弱さは深刻で、人材も育たず、途中でドロップアウトする人も数知れず。
雇用条件の良い国連等の国際機関、JICAなどは大人気ですが、国産NGOに多数の優秀な人材を雇用・育成する力はほとんどありません。
もちろんそれでも優秀な人はいますが、裾野が広がらなければ、そこで終わってしまいます。

オランダについては、個人寄付が盛んでNPOセクターの力が強いところですし、国際協力NGOへは国から多額の補助がでていたはずで、国の政策に組み込まれています。
それだけのバックボーンがあるので、国際貢献支援の中心地となるだけの人材・組織・ネットワークが育っているのでしょう。

そういえば、地雷除去は、日本が珍しくイニシアティブをとったと言われた国際貢献ですね。
日本企業が参画して、各社の得意技術を提供してました。
資金は外務省と企業からの援助が大半でしょう。
個人的には、こういう企業の力を活用した技術協力的な国際貢献の形態が、日本には向いているように思います。
理解がずれていました、済みません。
> 私の関心は国際協力NGOなので

済みません、文章の趣旨を分かっていませんでした。

ちょっとした質問なのですが、
日本が欧米系NGOの資金源に過ぎず、
日本国内では人も組織も育たないという状況は、
何か具体的な問題を孕んでいるのでしょうか。

私は、これが「日本社会全体につながる問題で、要改善」と
主張されているのではないかと思ったのです。

アメリカの自動車製造のように、
「不得意なものは他国に任せる」のもひとつの考えだと思います。
賢い考えなのかどうかは判断しかねますが。

日本は企業の支える技術面での協力が向いているのでは、
という点に関しては同感です。

それでももっと広い分野での日本発の活動には期待したいです。
植林・緑化活動あたりなどでは、どうなのでしょうか。
日本の歴史や文化と結びつく活動分野が、
NGOセクターでもありそうな気がします。
ご質問について考えてみました
短い記事にあれこれ話しを詰め込んでいるので、わかりにくい文章ですみません。

>ちょっとした質問なのですが、
>日本が欧米系NGOの資金源に過ぎず、
>日本国内では人も組織も育たないという状況は、
>何か具体的な問題を孕んでいるのでしょうか。
>私は、これが「日本社会全体につながる問題で、要改善と主張されているのではないかと思ったのです。

日本社会といっても、分野によって人材の層の厚さや公的・民間資金の投入規模が違いますから、一概には言えないと思います。
例えば、ジャズやクラシックの世界でも、国際的に活躍している日本人は多いです。日本の音楽教育のシステムが整っていますし、個人芸の世界ですから。
建築家は高等教育システムと建築ビジネスが巨大なので、人材も多く集まり、それなりに生計もたてられる。ということで、優秀な建築家を輩出できるだけの裾野の広さがあると思います。

この国際機関選挙とNGOを一緒に書いたのは、よく言われる”顔の見えない日本”というイメージが湧いてきたからです。
古いけれど有名な話は、湾岸戦争の時に日本は130億ドルの巨額の資金を提供したのに、クウェートが公表した感謝国のリストには日本の名前はなかった...なんていう構図が、国際機関や国際協力の分野では依然として共通しているように感じます。
技術(モノ)と資金だけは出す”顔の見えない日本”というところでしょうか。このごろはお金も気前よく出さなくなったので、存在感が徐々に低下しているようですが。

資源のない日本は、結局、人を育てるしかありませんが、その中でも優秀な人材の比率は限られているので、いかに母数を大きくするかが重要だと考えています。
そういう意味で人を育成するには、まず国内で育成できる組織基盤が強くなければ、裾野が広がらないと思ったわけです。誰でもすぐに海外で活躍できるわけではないですから。

>「不得意なものは他国に任せる」のもひとつの考えだと思います。
国際政治やビジネスの世界ではそうかもしれません。
NGOについては分野的に不得意という問題ではありません。資金が投入され組織が財政的に安定していれば、もっと多くの人材が集まってくると思います。
問題はNGOへ資金が集まらない構造であって、宗教や社会文化的背景の違いなのか、共同体の外の人へのシンパシーが希薄なのかは、はっきりは言えません。
日本人の寄付行動を調べていると、国ごとの違いがあって、結構面白いものです。

>植林・緑化活動あたりなどでは、どうなのでしょうか。

植林・緑化はODAでも、企業の排出権対策でも行われていますし、政治性が低い活動なので、ポピュラーではあります。専門のNGOもありますが、植林・緑化ニーズはかなり地域性があるような気がします。それに結構気の長い話しです。
途上国のニーズや社会問題の状況から考える、環境という観点であれば、水環境改善が良いのではないかと思います。
井戸を掘るNGOは多いです。途上国では水道・下水道設備がほとんど整備されておらず、安全な水が非常に不足しています。アジアには乾燥地域も多いです。
多数の人の生活環境が良くなり、衛生改善にもつながるという点で”水”は効果は高いように思います。
丁寧にお答え頂き、ありがとうございます。
なるほど、水ですか。
確かに中国でかなり日本企業が活躍していると聞きます。
ポテンシャルはありそうですね。

井戸掘りNGOでは「ペシャワール会」の本を読んだことがあります。
西アフリカでも活動されている方がいらっしゃったと記憶しています。

情報公開の重要性を理解しているのか不明な日本ユニセフより、
こうした現地のニーズに即応した活動を応援する方が
好ましいとは思うのですが、なかなかそうなってはいないようです。

オーソリティを伴った広報・資金収集型NPOがあれば、
少し日本人の寄付行動も変わるような気もします。
日本人はブランドと権威に弱いですから。

ただ、「顔の見えない日本」はなかなか改善できない気もします。
日本は水資源に恵まれているので
安全な水が当然の世界になってますが、途上国で生活に必要な水がなかなか確保できない地域では、井戸掘りがポピュラーだと思います。
工業地域とか、人口が集積する都市部、農薬を大量に使う農業地域では、水汚染が深刻化しています。
排水処理とか浄化技術が必要でしょうが、その分野では日本企業の出番は多いと思います。

「ペシャワール会」は日本の国際協力NGOでは、独自性の強い組織ですね。
政府の補助金なしに、会費と寄付金だけで運営していると聞いています。
代表の強い個性と信念が、人を魅きつけるのでしょう。

>オーソリティを伴った広報・資金収集型NPOがあれば、
>少し日本人の寄付行動も変わるような気もします。
>日本人はブランドと権威に弱いですから。
本当にその通りです。ユニセフと日本赤十字に寄付金が集まる理由の一つはそれでしょう。
それに、一過性が強いです。
まずは、いろんな広告塔が必要だと思います。
面白かったのは、ヨン様がスマトラ地震被災者のために韓国ワールドビジョンに寄付したら、日本のファンの寄付の申し出が殺到したこと。
別に悪いとは言いませんが、これをきっかけに、そのうち何人かでも、ヨン様とは関係なく、これから日本のNGOへも寄付して行こうという気になってくれれば良いと思います。

>ただ、「顔の見えない日本」はなかなか改善できない気もします。
劇的な改善は無理でしょうね。
このごろは、中国/MADE IN CAINAの存在感の方が、米国・アジア・アフリカ・中南米と、どこでも強まっているようですし。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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