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ベトナムの近代アート
アジアの絵画は日本人にはそれほど人気がないようで、アジアのアーティストの絵画展はそう多くは見かけない。

たまたまハノイへ旅行したときに買ったベトナム人画家の絵葉書が2枚ある。
ガイドさんは大学で貿易を専攻して卒業したばかりの女性だったが、絵にはわりと詳しそうだった。
文廟の本堂入り口にあるお土産もの屋さんで、To Ngoc Van と Tran Van Can という画家の絵葉書を1枚づつ買った。
たしか1枚150円で、4枚買うと500円になると言われたので、ニンビンとサパの農村の風景を撮った写真のポストカードも買うことにした。
ガイドさんの故郷がニンビン。彼女はこの写真をみて、自分の故郷のことをとても楽しそうに話していた。
日本の絵葉書と同じ値段だったけれど、現地の絵葉書はそう簡単に手に入らない。
自分用のお土産にしたので、今も机の上に飾っている。

絵葉書の絵は女性のポートレート。
To Ngoc Vanはローランサン風。Tran Van Canは色調を明るくした小磯良平風というところだろうか。
絵を見ただけでは、どこの国の絵なのか全くわからない。
日本人画家の絵だといわれても、全く違和感がない。
彼女によればベトナムではとても有名な画家の絵だという。

日本ではベトナム絵画の展覧会なんかしていないだろうと思ったら、福岡アジア美術館で「ベトナム近代絵画展 花と銃―インドシナ・モダンの半世紀」という絵画展を2005年に開催していた。
これは高知や和歌山へも巡回展示されている。

福岡アジア美術館はアジア各国の美術コレクションが2000点。
福岡市美術館時代から集めていたそうだ。
西洋絵画や日本の有名画家のコレクションが多い美術館がごろごろあるので、こういう独自のコンセプト美術館は面白い。
大規模な企画展も中国・韓国・台湾・モンゴル・チベット・マレーシア・インド・バリ・ベトナムなど。結構バリエーションがある。
普段はまずお目にかかれない絵がたくさん見れる。
この美術館は、海外の人気画家や美術館から借りてきた展覧会が多い老舗の大美術館よりも、ずっと楽しそうだ。

「ベトナム近代絵画展」は「ベトナム近代美術史における激動の半世紀を、約90点の出品作品によって体系的に紹介する日本で初めての展覧会」。
これは2005年に開催されたので、画録を買うしかない。
大きな美術館だと企画展の画録を売っているので、これを通販で買えば、展覧会の雰囲気くらいは十分味わえる。
この展覧会はあちこちで巡回展示されていたので、送料が安かった高知県立美術館から購入。2000円+送料400円。

届いた画録をみると、近代美術なのでベトナム戦争終結時前後までの絵しか展示していなかったようだ。
ドイモイ期以降の現代美術は載っていない。
ベトナムの伝統美術である絹絵、漆絵のほか、油絵、木版画などが載っているが、独立戦争の期間が長かったので、半分以上は戦争がらみの絵。
ホーおじさんを描いた絵もある。ベトナム政府も協力している美術展だから国威発揚的な作品も混じっているような気がする。
特にアメリカ支配下の南ベトナムの作家や作品は、プチブル向けで芸術価値が少ないとされるらしく、ほとんど紹介されていない。
最後の方には、ベトナムのドンホー村で買った版画家の作品がたくさん載っていた。
1万円くらいの版画を版画家のアトリエで息子さんに勧められてしまったが、彼は本当に有名な版画家だったんだと今になってよくわかった。

表紙は「美人画を見る女性」。有名な絵らしい。
画家はTo Ngoc Van。絵葉書の絵の作家だった。やっぱり有名な作家なのだ。
Luong Xuna Nhiの「読書する若い娘」も白いアオザイらしき服をきた女性が本を読んでいる絵。
フラゴナールも「読書する女」を書いていたし、女性の読書姿は絵になるようだ。
Ta Tyの「女」「女性と中国灯篭と鳩」はピカソばりのキュービズムっぽい絵で面白いし、色彩の鮮やかさや幾何学模様の組み合わせの上手さが印象的な絵。
他にも面白い絵はたくさん載っている。

こういう多数の画家の作品を集めたものは、モチーフや表現方法のバリエーションが豊富で、見飽きないのが良い。
それに、図録の良いところは、多くの解説文が載っているところ。
巻末には、収録画家の簡単なプロフィールも載っている。
この画録の半分はそういう解説・資料になっている。
初めは絵がちょっと少ないなと思ったが、これだけ資料が充実しているのなら、十分な値打ちがある画録だと見直してしまった。
ベトナム近代絵画の歴史が専門家によって詳しく解説されているので、中身は確かだし、読み物としても面白い。

ベトナム近代絵画は西洋絵画の技法を取り入れることで成立していたが、これはフランス支配の時代に、フランス人が美術学校を設立して、画家の育成を開始したのがきっかけ。
美術学校では西洋絵画の教育を行ってはいたが、その技法に漆絵や絹絵というベトナムの伝統的な画法を融合させて、新しい表現手法が開拓されたようだ。

ベトナムの近代絵画がまとまって見れる機会はほとんどない。
インターネットのギャラリーに載っているのは、主に現代作家の絵。
現代作家だと販売しやすいのだろうし、日本人には受け入れやすい画風の作家も多いと思う。
昔の独立戦争時代の戦場の絵を買いたいと思う人は少ないだろう。
ハノイにはベトナム国立美術館があるが時間がなくて行かなかったを後悔してしまった。
今度ホーチミンに行くときに、絶対にホーチミン市美術館へ行かないといけない。
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(非公開コメント受付中)

ベトナム絹画
1988年ベトナムに仕事で行きました。戦後間もないため荒廃著しく町中は物乞いが多く道路、鉄道も整備されておりませんでした。ベトナムを北から南まで移動し視察しました折、ダナンのホテルのロビーに飾ってありました少女が水辺にしゃがんでいる絹絵に見とれ、しばらく眺めておりました。
それを見て、ホテル支配人がお気に入りでしたら、お売りしますと言われましたので、ちょっと高いかなと思いながらも、譲り受けました。
それから、25年経ち、画家の名前も忘れてしまい、サインを見ても読めないため、ベトナム大使館員に読んでもらいましたが、自身がないとのことですが、サインはTHANGあるいは A はO かもしれないと言っておりました。
素晴らしい絹絵で黄色の衣服が、清らしく、さわやかな絵であります。
作者名、お心当たりがあればお知らせいただきたく存じます。
見たことのない絵です
鈴木昭洋様、こんばんは。

ご質問いただきましたが、あいにくベトナム絵画には詳しくありません。
所有している2冊のベトナム絵画集を見てみましたが、それらしき絵はありませんでした。

海外のアート系サイトを探してみましたが、Thangという名前(姓または名前) のベトナム人画家はいます。
同じ絵でなくとも、画風から判断できるかもしれません。

Thang Tran Penh (Vietnamese)
http://www.artnet.com/artists/thang+tran+penh/past-auction-results

Ngoc Thang
http://www.vietnamart.eu/gallery/?artist=ngocthang8

ほかにも同種のサイトがあると思いますので、一度そちらを調べられてはいかがでしょうか。
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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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