ベトナム現代アート 

2007, 04. 12 (Thu) 14:22

長岡市栃尾美術館に注文していた「世界への飛翔ーベトナム現代作家展」」の図録がやっと届いた。
入金確認後に発送されるので、美術館から図録を買う時はいつも時間がかかる。
ギャラリー「アート・遊」が実質的に企画をしたらしいので、ギャラリーのwebサイトにある画家と絵が多い。
それでも、図録で見る方が絵が大きくて鮮明なので、図録が手に入って良かった。

収録画家の数はそう多くはない。
人気画家のThanh Chuong(タイン・チュオン)の絵が13点もあって、一番多い。
彼の作品は、漆絵の手法で自らの幼少時代の思い出を美しい色彩で描いたものらしい。
色彩の美しさは群を抜いている。

Phan Cam Thuong(ファン・カム・トゥオン)も11点もある。
彼はライスペーパー(伝統的な手漉き紙)に天然顔料を使う画法が得意らしい。そのほかに木版画、絹絵もある。
ベトナムの伝統行事や仏教儀式などのモチーフが多い。
色彩はブラウン、グレーなど、くぐもった色調をベースにしているが、着物にややくすんだ感じの赤や緑を使っていて、日本の歴史に登場するような、古い絵巻物みたいな感じがする。

Thanh ChuongとPhan Cam Thuongの作品が多い分、他の作家の絵が少なく、割を食っているようなところがある。
画廊が扱っている画家の作品が多くなっているのは、しようがないというところ。

Le Thiet Cuong(レ・ティエット・クオン)は、チベット仏教の影響を受けた、ミニマリスト・スタイルと書かれている。
ネットで見ても面白かったが、”瞑想の最初の時”が象徴性がとても高い絵だと思う。
彼は日本文学や禅文化にも詳しいらしく、「瞑想の最初の時」は悟りの瞬間をあらわしたものらしい。
体内に咲く花と空中に漂う眼がそれを象徴しているのだろう。

Ha Tri Hieu(ハー・チー・ヒエウ)は、カラフルな色使いの農村風景が特徴。
ネットでみると、モンクを連想してしまうような線だったが、画録だとデフォルメされていても、そのメッセージはとてもポジティブ。何度も見ていると、そのデフォルメされた画風がとてもユーモラスに思えてきた。

収録されている他の画家は
 Hoang Phuong Vy(ホアン・フオン・ヴィー)
 Nguyen Bao Toan(グェン・バオ・トアン)
 Bui Tien Tuan(ブイ・ティエン・トゥアン)
 Mai Dac Linh(マイ・ダック・リン)
 Trinh Cuoc Chien(チン・クオック・チエン)
 Vu Thang(ヴー・タン)
 Le Thua Tien(レ・トゥア・ティエン)
 Le Hong Thai(レ・ホン・ターイ)
 Vu Dan Tan(ヴー・ザン・タン)

Vu Thang(ヴー・タン)の”転生”は漆絵の重層的な色彩の重なりで、プリミティブな世界を表現していて、表現もちょっとユーモラスな面白さがある。

Le Thua Tien(レ・トゥア・ティエン)は”古代の要素”は一見ポップアートのポスター風。
解説を見ると、中身は古代の象形文字や記号を幾何学的に配置している。
古代と現代的なセンスが融合しているところが、面白い。

Vu Dan Tan(ヴー・ザン・タン)は、Vu Dan Tanはベトナムで初めてインスタレーション作品を発表した前衛的な作家だという。
インスタレーションは好きではないが、彼のボックスオブジェは、みみづく、タイガー、仮面といった、見ていた楽しいアートで、気難しくなくて面白い。

部屋に飾りたいのは、”瞑想の最初の時””転生””古代の要素”というところだが、ポスターはベトナムへ行かないと売っていないだろう。
日本のギャラリーだと2万円くらいからレプリカ(?)を売っているようだ。

この図録の冒頭には、富田健次大阪外大教授の寄稿があった。
全然ベトナム美術と関係ない文章で、日越文化交流の歴史を簡単に綴ったもの。
半分は、チン・コン・ソンのこと。
彼の歌詞の詩的な叙情性の背後にあるのは、常に戦争との軋轢だったようだ。
彼の伝記を詳しく調べてみなければ。



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