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トランス脂肪酸(2) 国外の規制
トランス脂肪酸は、日本では全く規制していない。

表示義務もないので、油脂類(マーガリン、ファットスプレッド、バター、ショートニング、食用油)や、油脂を使った食品(お菓子類全般、フライ)にどのくらい含まれているか、パッケージをみただけでは、全くわからない。
使用反対派の個人や団体が、わざわざ検査機関に分析を依頼して調査した結果がいくつかあるが、一般の消費者はそんなことはするはずもないので、わからないまま買っている。

トランス脂肪酸が去年あたりからかなり注目されるようになってきたため、メーカー側もいつの間にかトランス脂肪酸の含有量をかなり減らし始めたようだ。
しかし、メーカーが正確な情報を製品に表示していないため、現在流通している製品ではなく、過去に誰かが調べた製品の分析結果がネット上に掲載されている。
実際は、その分析結果よりかなり少なくはなっている製品もあるので、間違った含有量の情報が流れているのは困ったものだ。

油脂類を使った食品を多量にとっている米国では、最近とみにトランス脂肪酸への風あたりが強まっている。
米国で、低所得者層に肥満が多いのは、高カロリー・高脂肪・高蛋白で低価格な肉、フライ料理、ピザ、フライドポテト、ファストフードが多い食生活のためだと、何かで読んだことがある。
外食チェーンが率先してトランス脂肪酸低減を表明するのも、批判のターゲットになりやすいからだろう。

◆米国での規制
連邦レベルの規制としては、2006年1月から加工食品のトランス脂肪酸量の表示を義務付けた。
また、2004年8月に発表した米国人のための食事指針案では、トランス脂肪酸の摂取量は一日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告している。
FDAではトランス脂肪酸の表示義務に関して、ホームページ上で広報している。
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/transfat.html

ニューヨーク市はもっと極端だ。
健康問題委員会という機関が、2006年12月5日、市内の飲食店(2万4000軒もあるらしい)に対して、トランス脂肪酸を含む食用油の使用を全面的に禁止するという決定をした。
まず2007年7月までに、フライ物、マーガリン、ショートニング、食用油を1人あたり0.5グラムまでに制限。
さらに2008年7月までにはイースト菌などのパン生地、ケーキ用のバターオイルにも適用されるという。
これは結構厳しそうだ。

外食産業では、もっと早くからトランス脂肪酸を低減させている。
マクドナルド:2007年1月に全米1万3700店舗の中の1200店舗で使用を中止すると発表しているが、時期は未定。大手ファストフードチェーンの中では、対応が一番遅れているらしい。
ウェンディーズ:2006年9月に食品のトランス脂肪酸の含有量をゼロに減らす方針を決めている。
ケンタッキー・フライド・チキン:2007年4月までに全米5500店で使用する揚げ油を、トランス脂肪酸を含まない大豆油に切り替える。
スターバックス:2007年内には全米店舗でトランス脂肪酸を使用しないメニューに切り替える。

この米国の外食産業の動きを解説した記事が日経BPに掲載されている。
特に、フライドポテトの対応はかなり厳しいらしい。
それなら外食でフライトポテトを食べなければ良さそうなものだが、アメリカ人の食生活上そういうわけにもいかないようだし、ドル箱の商品が売れないのも困るそうだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070223/119681/

ホテルチェーンのマリオットは、米・カナダの2300の系列ホテルで、2007年2月15日からトランス脂肪酸を使用しないようにした。

さすが訴訟の国のアメリカなので、トランス脂肪酸使用をめぐって訴訟騒ぎも起こっている。

2003年5月に、スナック菓子製造業者 Kraft Foods に対して、弁護士が作ったBanTransFat(トランス脂肪を禁止せよ!の意)というNGO団体が、Oreoクッキーをカリフォルニア州で子供には売れないようにするという裁判を起こした。
結局、Oreoのトランス脂肪をなくすか、少なくするということをメーカーが約束して、2003年5月に訴訟が取り下げられた。
この経緯が日経BPNETに載っている。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/332/332353.html

2006年6月には、米有力消費者団体の公益科学センター(CSPI)が米ヤム・ブランズ(ケンタッキー・フライド・チキンやピザハットを経営)を相手取り、トランス脂肪酸を含む調理油の使用中止などを求めて提訴した。
http://health.nikkei.co.jp/news/biyou/index.cfm?i=2006061507354j9

◆韓国
製菓メーカーが相次いで「トランス脂肪酸ゼロ化」を宣言している。

ロッテ製菓、オリオンが自社全製品でのトランス脂肪酸使用を全面廃止。両社とも、トランス脂肪酸含有量、炭水化物、脂肪、タンパク質、ナトリウム、カロリーなどの栄養成分表をパッケージ前面に表示。
クラウン、ヘテ製菓もトランス脂肪ゼロ化作業をほぼ完了。栄養成分前面表示もまもなく導入予定。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070112-00000026-yonh-kr

どうしてこんなにトランス脂肪酸を使わないようにするのかよくわからないが、自社製品から全面廃止というのはなかなかすごい。

◆オランダ
業界自主規制で製品にトランス脂肪酸含有量表示を義務づけ、またトランス脂肪酸を含むマーガリンの製造は中止されたそうだ。

◆デンマーク
2004年1月1日から国内のすべての食品について、油脂中のトランス脂肪酸の含有率を2%までとする罰則規定付き行政命令を施行。
デンマークは、大気汚染などの環境規制もかなり厳しい国だ。

◆イギリス
摂取カロリーの中のトランス脂肪酸を2%以下(WHO平均所要脂質量換算、1.3g/日)にするように勧告している。

◆カナダ
2003年1月1日よりトランス脂肪酸量を栄養ラベルの項目に加えることを決定、2005年12月12日に表示を義務化。

◆日本
国も業界も、日本人の平均摂取量はアメリカに比べて格段に少ないので問題なしとして、表示義務も規制も全くなし。
いつも例に出される先進国というレベルでは、表示義務を課す国が増えてきているが、このトランス脂肪酸については、先進国の仲間入りをしようという気は今のところないようだ。

2006年7月には、日経新聞や新聞で、トランス脂肪酸のことが取り上げられた記事がある。
http://www.burgarine.com/img/nikkei060716_large.jpg

大手メーカーでは、セブン-イレブンが、オリジナル商品「焼きたて直送便」で、保存料・合成着色料の不使用に加え、2006年3月からはトランス脂肪酸を低減している。
ワンサービング(一口:約55g)あたり平均0.6gあったトランス脂肪酸量を、2006年3月に平均0.2gまで低減したという。
http://www.sej.co.jp/shohin/transfat.html

米国であれほど急にトランス脂肪酸追放運動が盛んになると、日本がその影響を全く受けないというわけにもいかないように思う。
少なくとも表示義務を法的に課すか、自主表示くらいはすれば良さそうに思うが、特に問題となるマーガリンなどで各社の製品のトランス脂肪酸がかなり低減できた段階で、業界あげて表示するようになるんだろう。

厄介なのは、マーガリンよりもショートニングの方。
サクサク感をだすために、パン、ケーキ、クッキー、インスタントラーメンなどにショートニングが使われていることが多い。
そのショートニングはマーガリンよりもずっとトランス脂肪酸が多い。
市販製品中のショートニング使用量なんかは全然わからないので、家庭で食べるマーガリンよりも、選択肢がかなり狭くなる。

こういうことを考えていくと、一番良いのは手作り。
材料を選べるし、正確な使用量がわかる。
但し、手作りの場合は、市販製品よりもコストが上がる場合と下がる場合もある。作る手間もそれなりに必要だ。
なにより、作る側の腕前に味が左右されるところが最大の難点。
とある知人は、手づくりプリンを子供に食べさせたところ、プッチンプリンの方がいいと言われて、それからプリンは手作りしなくなったそうだ。

◇参考サイト
ウィキペディア「トランス脂肪酸」
「食品安全委員会」のトランス脂肪酸サイト

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