国産春小麦の新品種「はるきらり」 

2008, 02. 28 (Thu) 02:19

ワールドビジネスサテライトで、国産小麦の特集があった。
要点は次の通り。

-国産小麦は(民間同士の)入札制度により、輸入小麦よりも1万円安い価格で取引されている。
-しかし、国産小麦にはその取引価格に加えて1トン当り10万円の助成金を国が支給。
-この助成金の財源は、外国産小麦の価格に上乗せ。実質的に国民が負担。
-国産小麦を使う製造業者は増加し需要が供給を上回る。しかし、助成金が出るのに、米作農家は米と小麦の2毛作をしようとしない。
-国産小麦は、日本ではうどん用を中心に栽培。パン用小麦の開発が遅れる。
-北海道は全国の小麦の6割を生産している。
-小麦は元来乾燥地域に適した作物。雨の多い日本の小麦栽培には不利。
-国産小麦は雨天などの影響によりく品質が不安定、パン用小麦は膨らみにくく工夫が必要、と品質評価は低い。
-生産量が少ないため、安定供給に不安あり。(商品の半分は外国産小麦を使っているというベーカリーショップがあった)
-北海道の農業試験場で、従来よりも膨らみの良い新品種「はるきらり」が開発された。世界一の品質といわれるカナダ小麦をかけあわせて品種改良したもの。

短い時間のわりに、情報量も多くよくまとまっていた特集だった。
番組の中で紹介されていた新しい小麦の品種「はるきらり」。
外国産のようにパンの膨らみが良いという。

調べてみると、正式な品種名(というのか知らないが)は「北見春67号」。
開発した北海道立北見農業試験場の研究員による研究論文は次の通り。

「穂発芽に強く、デオキシニバレノール汚染が少ない春まき小麦新品種「北見春67号」
「パンがおいしく障害に強い春まき小麦「北見春67号」」

国産小麦で人気のある品種は「はるゆたか」「春よ恋」「キタノカオリ」。
特に「はるゆたか」の人気は高く、生産量が少ないため、取り扱っている店は少なく、いつでも手に入るというわけではない。
値段は、有名なパン材料店で2.5kg800円~900円程度。
外国産強力粉よりは、2~3割程度は高い。
3月に輸入小麦が再値上げされるので、価格差が縮小する可能性はあるが、なぜか国産小麦もこのところ値上げされてきているので、結局、価格差は縮まらないかもしれないが。

「はるきらり」の長所は
 1.穂発芽性が“難”である。
 2.デオキシニバレノール汚染が少ない。
 3.多収で、千粒重が大きい。
 4.製パン性が優れる。
という。
専門用語なので詳しくはわからないが、低温で雨続きでも穂が発芽しにくい、病害(赤かび病)汚染が少ない、収穫量や粒も大きい、パンが作りやすい、ということのようだ。

短所は、
 1.粗蛋白含量がやや少ない。
 2.成熟期がやや遅い。

データをみると、「はるゆたか」や「春よ恋」よりも蛋白含有量が少ない。
これでは、パンが膨らみにくいのでは、と思った。
しかし、開花期以降に肥料を葉面散布すれば蛋白含有量が「春よ恋」なみにはなるそうだ。

品質・製品の総合評価では、カナダ小麦のICWが80点とすると、「はるひかり」74.9点、「はるゆたか」 67.7点と、ICWにかなり近づいている。
「はるゆたか」並みの値段で市場に出回ったら、「はるゆたか」よりも人気がでるかもしれない。
早く巷のパン材料店で取り扱って欲しいものだ。

「製パン性が優れ、穂発芽ややし難い硬質小麦新品種「ユメアサヒ」」という研究論文をついでに見つけた。
この「ユメアサヒ」のことは、以前ワールドビジネスサテライトのニュースで見たことがある。
関東の北部あたりでも収穫できる小麦だそうだ。

「はるきらり」や「ユメアサヒ」など、品種改良でパン用の国産小麦が次々に開発されていけば、多少は(微々たるものかもしれないが)小麦の自給率改善につながるかもしれない。
ただし、国産小麦の生産量が増えれば、助成金も増えていくという構造があるというのが痛いところ。
生産コストが急に激減するわけもない。
結局は、助成金の増加分を上乗せされた輸入小麦の価格がさらに上がるか、輸入小麦の値段は抑えて、代わりに国庫から税金を投入して助成するか、のどちらかは避けられないように思える。

5 Comments

菜緒(自由人生)  

WBS

「パンのある生活」に続き「九谷焼香炉」へのコメントありがとうございました。

WBS私も毎日のように見ています。
小麦の値上がりについて、いろいろ検証されていて、素晴らしいです♪
小麦高騰により、国内での小麦生産化を狙う政府の動きも出てきているようですが、国内産の小麦が、輸入小麦よりも安くなるというのであれば、話は別ですが、現状では、9割を輸入に頼っているわけですから、あまりにも安易な考えで、厳しいのではないかと、私も思っております。

また、お時間があれば、遊びにいらしてくださいね。
お待ちしてますe-343

2008/02/28 (Thu) 13:46 | REPLY |   

いとすぎ  

国産小麦を評価するベーカリーもあるそうです

お久しぶりです、いとすぎです。

相模原に「ブノワトン」という有名なパン屋があり、
国内産の小麦を高く評価し、ふすまも混ぜて焼いているそうです。
食味が良いのであれば、高い価格でも売れるかと。

米も今や雑穀より安くなっていますから、
皆、米を食べれば良いのにと思うのですが。
(調理を工夫すれば2食くらいは全然平気だと思います)
かつて砂糖が高価で貴重品だった時代のように、
貧しい元の日本に戻るのだと考えれば
別に不思議なことはないと思っています。

昨年くらいから穀物価格が上がるのは見え見えでした。
丸紅の柴田明夫さんが『食糧争奪』を書いています。
FXで豪ドルをレバレッジ3倍くらいで持って、
(これなら年に10%豪ドルが下落してもマイナスにならない)
自分で物価高騰リスクをヘッジするしかないでしょう。

2008/03/03 (Mon) 00:49 | REPLY |   

yoshimi  

国産小麦パンは値段が高くて

外国産小麦だけでなく国産小麦まで値上がりしてますし、購買層とボリュームは、
限られるでしょうね。
国産小麦愛用者は少なくはないと思いますが、天然酵母を使うことが多いので手
間もかかるし、食感が輸入小麦とは違うので、食べる人の好みが分かれるようで
す。私は両方とも好きですが。
おとりよせの高級パンは、天然酵母+国産小麦を使ったものをよくみかけます。

個人的には小麦製品を1日1回は食べないと物足りないので、米とパン各1日1食
にしています。
小麦が高値品薄になったら米粉でパンを作る方法という和洋折衷もできるので、
パン食はやめられないでしょう。
お米も好きですが、雑穀ご飯や炊き込みご飯にしたり発芽玄米を食べていると、
自分で作った食パンよりもコストがかかっているような気が。
米飯は栄養があるし、バリエーションも多くて、日替わりにすると作るのも食べる
のも楽しいものです。

世界はインフレの時代へと構造が変わる一方、日本はスタグフレーションへとまっ
しぐらのようなので、本当に自衛するしかありませんね。
外貨と海外株式はいろいろ保有しているのですが、たしかに豪ドルはこれから持っ
ておきたい外貨です。
今日もまた円が高くなっているので、そのうち90円を切ってくれれば買いやすくて
歓迎なのですが。



2008/03/03 (Mon) 15:15 | REPLY |   

いとすぎ  

饂飩の小麦は内外価格逆転したそうです

うどん用の小麦の方は内外価格が逆転したと聞きました。
パン屋の店頭の品揃えもいずれ変わりそうです。

最近、質の高いうどん屋が増えてきたので、
私はまた機会を見て国内自給率向上に貢献したいと思います。

… Yoshimi様はやはり海外投資の経験がおありだったのですね。
昨秋から始めた私の方が初心者だと思うので、
当方のウェブログで誤りがあったら是非御指摘下さい。

豪ドルも2年先、3年先は分かりませんし。

2008/03/05 (Wed) 01:21 | REPLY |   

yoshimi  

中力粉は豪州産なので

うどん用の中力粉は、国産小麦を使った方が美味しいそうです。

中力粉の値段はよく知らないので調べてみると、うどん用の国産小麦粉は、パン用の国産小麦粉よりも2~3割値段が安くなっています。

うどん用輸入小麦は豪州産が大半ですが、価格は米国産パン用小麦と同じくらいか、数パーセントが高くなっています。(旱魃の影響かもしれません。)

うどん用小麦の内外価格差は、パン用よりも小さいため、最近の豪州小麦の高騰により内外価格差が逆転したのではないでしょうか。

国産のパン用強力粉は、今でも輸入小麦粉の1.3倍~1.5倍くらいはしますし、需要増のためこのところ値上がりしており、4月以降も上がる可能性はあります。
現状では、小麦の国際相場が上がれば、生産余力の低い国産小麦の需要が増えて、国産小麦も同じくらい値上がりするように思います。

私は海外投資専門ですが、10年くらいで考えているので、いつもは日々の相場の流れをおさえておく程度しかしていません。
世界的な経済構造が激変するターニングポイントが来ているようなので、中長期の方向性がどうなるのかは気にしています。
といっても、短期・中長期とも、相場の先行きなど確実なことは何もないと割り切っているので、どの程度のロスに耐えうるかをしっかり計算するようにしてますが。

2008/03/05 (Wed) 06:41 | REPLY |   

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