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宮澤賢治の童話集
なぜか突如、宮澤賢治を読みたくなった。
子供の頃「セロ弾きのゴーシュ」を読んだ記憶はある。
それ以外はほとんど読んだことがないはず。
なのに、今になってどうして宮澤賢治なのか、自分でもよくわからないが。

amazonで調べると、ちくま、新潮、角川の文庫版で、賢治のほとんどの作品が読める。
それぞれの収録作品を調べて、図書館や本屋さんで手にとって確認して、結局、新潮文庫版でそろえることにした。
ちくま文庫の方が装丁(カバーイラストは安野光雅)や本の質感が断然良いが、異稿が多く入っていて値段も高い。
異稿が収録されている本は、マニアや研究者には良いのだろうけれど、私にはあまり必要なさそうだった。

新潮文庫では、主な童話(というか短編)が4冊に分冊されている。
代表作の「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」「風の又三郎」に加えて、「グスコーブドリの日記」「ポラーノの広場」を読もうとすると、全部そろえないといけない。
「グスコーブドリの日記」「ポラーノの広場」は聞いたこともなかったが、読んでみると「注文の多い料理店」などよりもはるかに面白い。
特に「グスコーブドリの日記」は、岩手の自然環境や当時の農民の生活の苦しさを背景にしているので、童話と分類されているが、賢治の生活に根ざしたリアリティがある。

彼の作品は生前に発表されたものが少ない上改稿が多く、その改稿部分も必ずしも整理されているわけでもなく、編集者も苦労したようだ。
そのため、版元によって、作品の内容に違いがある場合がある。
「銀河鉄道の夜」は何度も改稿されており、通常は4次稿が最終稿とされている。
しかし、3次稿と根本的な部分で違う点があるので、3次稿も読むと、その違いがわかって面白い。

3次稿ではブルカニロ博士が登場して、そもそも銀河鉄道の旅自体が博士の実験だったという設定になっている。
この博士、ラストではジョバンニにこれから歩むべき道を語り、見守ってくれる役目を負う。
一方、最終稿ではブルカニロ博士は初めから存在せず、銀河鉄道の旅はジョバンニが見た”夢想”。ジョバンニの道しるべとなる人物がいないため、ジョバンニは自らの意志で進まないといけない。

個人的には、最終稿の形がすっきりしていて好きだが、3次稿のラストで博士が語る言葉は一読の価値がある。
賢治が何を伝えたかったのかが明確に述べられていて、できれば両方とも読むのが良いと思う。
ちくま文庫だけでなく、新潮文庫も3次稿を『ポラーノの広場』に収録している。
3次稿にも大事なメッセージがあると考えたからなんだろう。


新編銀河鉄道の夜新編銀河鉄道の夜
(1989/06)
宮沢 賢治

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宮沢賢治全集 (7) (ちくま文庫)宮沢賢治全集 (7) (ちくま文庫)
(1985/12)
宮沢 賢治

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図書館で見つけた本は『宮澤賢治のお菓子な国』。
賢治の作品に登場するお菓子をテーマに、メルヘンチックな綺麗なイラストと、登場するお菓子にまつわる話しを綴ったもの。これは結構面白かった。
宮澤賢治というと、土着的な活動者というイメージが漠然とあったが、ここで登場するお菓子はかなりハイカラ。
もちろん、伝統的な日本のお団子や飴も登場するが、ワップルやチョコレート、コーヒーなど、当時の岩手で日常的に手に入るとは思えないものもかなりある。
賢治は東京は頻繁に行って、新しいものに触れる”文化的”な充電活動をしていたようだが、彼は結構な新しもの好きだったのかも。
新しいものに抵抗がないから、羅須地人協会を作って農業教育や農業改革を始めることができたんじゃないだろうか。

この本を買おうと思ってオンライン書で探したが、どのサイトも在庫切れで絶版状態。
絵本の類なので、そう度々重版されるものでもないのだろう。
同じ著者で『宮澤賢治のレストラン』もある。これも入手不可能だった。残念。

宮沢賢治のお菓子な国宮沢賢治のお菓子な国
(1998/04)
中野 由貴出口 雄大

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宮沢賢治のレストラン宮沢賢治のレストラン
(1996/04)
中野 由貴出口 雄大

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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