アラウ ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 

2008, 10. 21 (Tue) 17:45

ルドルフ・ゼルキンのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を聴いてから、アラウの演奏が久しぶりに聴きたくなった。
60歳頃にオーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の伴奏で弾いたゼルキンの演奏は、硬質でややクリスピーなタッチと引き締まった響きで、端正だがすがすがしく、穏やかな優しさを感じる演奏だった。

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」、第4番ト長調ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」、第4番ト長調
(1993/10/16)
アラウ(クラウディオ)

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アラウの第4コンチェルトの最後の録音となるのは、1984年(実に81歳)に、アラウを敬愛しているといつも言っているコリン・デイヴィス指揮で弾いた演奏。
私の第4番を聴いたのはアラウが初めてだったので、この曲はこのアラウの演奏が基準になってしまった。
アラウ晩年の録音なので独特の遅めのテンポ。
技巧的な衰えはあるけれど、テンポが遅いせいもあってそれにしては安定したした弾きぶり。この年で、まだこれだけ弾けるのかと不思議に思うくらい。

オーケストラはドイツのドレスデン・シュタッツカペレ。
オーケストラについては、いつもそれほど気にかけて聴いてはいないけれど、フィラデルフィア管の響きとは違って、ドイツのオケらしく弦楽パートの響きの層が厚く深みもあり、重厚な響きでアラウのピアノとよく合っている。

第1楽章の冒頭、アラウ特有の深く豊かな響きのピアノがとても印象的。
アラウの特徴で、各声部を歌わせながら、悠然に弾き進めていく。
いつもながら1音1音の響きの深さと豊かさが美しく、どんな強く弾いても濁らずにとがらず丸みを帯びている音色にはいつも聴くき惚れてしまう。

第2楽章は、抑制された表現から深い悲痛な感情がにじみ出る渋さがある。ピアニッシモでも、か弱な音ではなく、明瞭で響きも深い。

第3楽章は、一転して明るさと喜びに満ちた曲なので、もう少しスピードと強弱のコントラストが欲しい気もするけれど、これはこれで懐の深く味があって。
この曲はまるでオケとピアノが対話しているかのように聴こえてくる。
アラウはフォルテでもガンガン打鍵することはなくて、フォルテ部分の音量が小さめのような気はするけれど、全身の体重をかけて打鍵する奏法らしく、濁りのない伸びやかな音色がする。

この演奏を聴いていると、大きく奥の深い慈愛に包まれるような安心感を感じてしまう。
初めてこの演奏を聴いたときは、5番の「皇帝」をしのぐほど、素晴らしい曲だと思ったけれど、たぶんアラウのピアノで聴いたことが大きかったのかなという気がします。

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