*All archives*



アラウ ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ルドルフ・ゼルキンのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を聴いてから、アラウの演奏が久しぶりに聴きたくなった。
60歳頃にオーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の伴奏で弾いたゼルキンの演奏は、硬質でややクリスピーなタッチと引き締まった響きで、端正だがすがすがしく、穏やかな優しさを感じる演奏だった。

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」、第4番ト長調ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」、第4番ト長調
(1993/10/16)
アラウ(クラウディオ)

商品詳細を見る

アラウの第4コンチェルトの最後の録音となるのは、1984年(実に81歳)に、アラウを敬愛しているといつも言っているコリン・デイヴィス指揮で弾いた演奏。
私の第4番を聴いたのはアラウが初めてだったので、この曲はこのアラウの演奏が基準になってしまった。
アラウ晩年の録音なので独特の遅めのテンポ。
技巧的な衰えはあるけれど、テンポが遅いせいもあってそれにしては安定したした弾きぶり。この年で、まだこれだけ弾けるのかと不思議に思うくらい。

オーケストラはドイツのドレスデン・シュタッツカペレ。
オーケストラについては、いつもそれほど気にかけて聴いてはいないけれど、フィラデルフィア管の響きとは違って、ドイツのオケらしく弦楽パートの響きの層が厚く深みもあり、重厚な響きでアラウのピアノとよく合っている。

第1楽章の冒頭、アラウ特有の深く豊かな響きのピアノがとても印象的。
アラウの特徴で、各声部を歌わせながら、悠然に弾き進めていく。
いつもながら1音1音の響きの深さと豊かさが美しく、どんな強く弾いても濁らずにとがらず丸みを帯びている音色にはいつも聴くき惚れてしまう。

第2楽章は、抑制された表現から深い悲痛な感情がにじみ出る渋さがある。ピアニッシモでも、か弱な音ではなく、明瞭で響きも深い。

第3楽章は、一転して明るさと喜びに満ちた曲なので、もう少しスピードと強弱のコントラストが欲しい気もするけれど、これはこれで懐の深く味があって。
この曲はまるでオケとピアノが対話しているかのように聴こえてくる。
アラウはフォルテでもガンガン打鍵することはなくて、フォルテ部分の音量が小さめのような気はするけれど、全身の体重をかけて打鍵する奏法らしく、濁りのない伸びやかな音色がする。

この演奏を聴いていると、大きく奥の深い慈愛に包まれるような安心感を感じてしまう。
初めてこの演奏を聴いたときは、5番の「皇帝」をしのぐほど、素晴らしい曲だと思ったけれど、たぶんアラウのピアノで聴いたことが大きかったのかなという気がします。

tag : アラウ ベートーヴェン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。