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ポリーニ、グルダ ~ モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番
偶然動画で見たポリーニのモーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」がこの上なく美しかったので、グルダの演奏と合わせてCDで聴いてみた。
モーツァルトのコンチェルトは、短調の20番や24番くらいしかまともに聴いたことがなかったが、曲としてはこの第23番がとても愛らしくて美しい。特にアダージョの静謐な美しさは形容しがたいものがある。

先に聴いたのはグルダの方。演奏は1983年。ジャケットの写真がかなり笑える。
奇才グルダと鬼才アーノンクールのコンビなので、普通には終わりそうにないという予感をさせる。
アーノンクールが振るコンセルトヘボウは、協奏曲のオケとしてはとても厚みがあって、伴奏というよりも前面にでてくる演奏のようで、各パートの音が明瞭で音も大きく、堂々としたモーツァルトのよう。
HMVのレビュに、オケとピアノが互いに全く別の方向性の音楽を演奏しているのに、完全に演奏しきってしまえるところが凄いと書いていた。
思わず笑ってしまったが、このコンビならやりかねません。

冒頭からオーケストラの前奏が始まるが、なぜかピアノの音が時々聴こえてくる。
他でも、ピアノは入らないはずなのに、鳴っていることがしばしば。ポリーニの演奏を何度も聴いているので、違っていると気がつくようだ。
どうもグルダが即興でオケと一緒に弾いているらしい。
これを面白いと思うかどうかは個人差があるだろうが、どこでピアノが鳴っているか探してみるのは結構楽しい。
それにメロディに合わせて歌うグルダの鼻歌も聴こえてくる。
楽しそうでいいので気にしないけど。ポリーニもよく演奏中に唸っているし。

グルダはここではベーゼンドルファーを弾いている。
丸みのある少しくぐもった感じの柔らかい響きがして、スタインウェイのきらびやかな音色とは少し違う。
グルダのタッチもコロコロとビロードの上を転がるように流れるように滑らかで軽快。
感傷的な演奏ではなく、ごく自然体で愉しそうに弾いているのを感じる。
特に第3楽章は本当に楽しそうな弾き方で、聴いている方も思わず微笑んでしまうような明るさと喜びに溢れている。
グルダの躍動的なベートーヴェンも良いが、それ以上にモーツァルトがとても似合っている。

モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番&第26番モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番&第26番
(2000/06/21)
グルダ(フリードリヒ)

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ポリーニは、30歳前半の若い頃の演奏。指揮はベームですでに80歳にはなろうかという時期。
ベームがソリストにポリーニを指名したという。それが本当なら、怜悧な彼のピアニズムのどこかに、自分の演奏に欠かせない何かを感じたのだろうか。その後、ベートーヴェンのピアノコンチェルト集も録音しているくらいだ。

DVDを見ると、普段は超絶技巧で鋭角的な打鍵をするポリーニが、音が少なく技術的にはカンタンなモーツァルトを弾く姿が見られて貴重。
音を抑えて弾くところでは、手の力を抜いて腕の重みで鍵盤を柔らかく押している。
音の響きは硬質で深い響きは残さないので、音が粒になって聴こえてくる。
彼の音色は無機的だという批評もあるが、モーツァルトでは、明るい輝く音色と、クリスタルのような透明感のある音色がある。
第1楽章と第3楽章は明るく輝く音色なので躍動感がある。特に第3楽章の躍動感が素晴らしく良い。
第2楽章のアダージョでは透明感のある音色が美しい。過度に感情を込める弾き方ではないので、抑制された抒情感と気品が感じられる。これだけ気品のある澄んだ透明感を出すのはポリーニくらいかも。
タッチの鋭さをどう封印しても、音がクリアで明瞭なので、硬いクリスタルの粒がコロコロと転がるような感じがする。

”機械のように冷たい演奏”とか評されることもあるポリーニが、映像をみると情感をこめて弾いている姿がよくわかる。
ベームとウィーンフィルに呼吸を合わそうとしているのか、よくベームの方に視線をやっていて、ベームを見ながらピアノを弾いていることもしばしば。
それでも、指の方はノーミスで正確に動いているところが面白い。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番&第23番モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番&第23番
(2005/12/14)
ポリーニ(マウリツィオ)

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tag : ポリーニ グルダ モーツァルト

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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