回らない風車 

2008, 09. 29 (Mon) 23:28

新聞に載っていたお話。

茨城県つくば市が、早稲田大学と大阪市内の風車メーカーに委託して小中学校に設置した風車23基が回らず、発電事業が頓挫したため、損害賠償を起こした訴訟で、早大に約2億円の支払いを命じたとのこと。
設置費用のうち1億8500万円は環境省の交付金。事業計画を大幅に下回ったことが発覚して、市は交付金を返還されられたそうだ。

全く回らない風車ほど役に立たないものはない。
回っていくらの機械なので、回らなければただの大規模工作物。景観破壊の元。
それにしても、風車の設置する時には、必ず風況調査をするので、おおよその期待風量の目安は立つはず。
短期間の風況調査で片付けたのか、たまたま調査した期間だけよく風が吹いていたのだろうか。
早大の予測値の約4分の1しか発電しなかったというのだから、計画事態がずさんなデータに基づいていたか、早大のフィージビリティスタディが夢物語だったかのどちらか(または両方)だろう。
提案書と風況調査結果を見れば、事業挫折の原因の検討はつくと思うが、判決では、"風の状況など慎重な検討を迫る材料がそろっていたにもかかわらず、早大側の調査結果をうのみにした”という市側の過失を認定している。
それに、試算時の前提とは異なる発電機を実際には導入したそうだが、発電機のグレードを極端に落とさない限り、発電効率がそんなに悪くなるとは思えないが、実際には試算値の1/4の発電量だった。
どうやら、機械の消費電力量が発電量を上回るエネルギーの大食い機種を導入したらしい。
常識的に考えると、発電機の変更によって試算時の条件が変わる場合には、試算をやり直すのが普通だろう。
早大が機種変更を知っていたなら、F/Sを行った立場なら必ず忠告するべきで、必要なら試算をやり直さないといけない。
誰がどの段階で機種を変更したのかそのあたりの経緯はよくわからないが、結局、早大が控訴したので、裁判はまだ続きそうだ。

風力発電事業は、立地産業の最たるもの。
偏西風がコンスタントに吹く欧州と違って、日本の場合は地形が複雑で、季節によって風向きもコロコロ変わり、建物・山などの障害物も多い。
国土の狭い日本では、なかなか安定した風力が得られる場所が見つからない。
風車は欧州メーカーのシェアが高く、欧州の風土に合わせた設計をしている。
米国の風力発電がかなり伸びているが、あれだけ広大な土地があれば、風車の適地などいくらでも見つかるのだろう。

風力も自然エネルギーのひとつではあるが、適地選定が難しいし、台風などでの倒壊や騒音・景観問題などが厄介。
つくば市の風車も、強風で羽が折れて、羽を全て撤去したとか。(今は羽のない風車だけが残っている?)
素人が考えるに、北欧などの日射量の少ない地域と違って、日射量の多い日本は太陽光発電の方が向いているように思える。

家庭用の太陽光発電システムは、今回復活した補助金制度でも補助率が1割くらい。
一般的な家庭用システムだと、発電容量が4kwクラスで1機200万円前後の価格なので、安い買い物ではない。ただし小型の風力発電機よりは安いはず。
電気代の削減と電力会社への売電でコストは回収できるが、メンテナンス費用を考えると、回収できるのは15年~20年くらい。
万一故障したら補修費がかかるし、引越しをしたら移設費用も必要になる。
耐用年数30年とは言われるが、ランニングコストが意外とかかるので、収支トントンで喜ぶべきか。
でも、原油価格が高騰して高止まりすれば、収支的にはかなりお得になる可能性はある。
物価高と可処分所得の減少で、当分住宅市場は低迷するだろうから、一定規模の戸建住宅や集合住宅に、補助金つきで設置を義務付けでもしないと、太陽光発電が普及するのはカメのようにトロいペースになるような気がする。

0 Comments

Leave a comment