キーシン ~ バッハ=ブゾーニ編/シャコンヌ 

2009, 01. 20 (Tue) 20:29

「シャコンヌ」といえば、バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の「シャコンヌ」のことを指すんでしょうが、私が真っ先に思い浮かべるのがブゾーニがピアノ独奏用に編曲した「シャコンヌ」。

ピアノ編曲版は原曲とは全く別の音楽。ピアノ編曲版が完全に聴覚と頭の中にインプットされているので、ヴァイオリンの音色で聴いてもイメージがずれてしまう。

バッハ=ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」は、ミケランジェリの演奏が有名だけれど、私が初めて聴いたのはキーシンの弾く「シャコンヌ」。
25歳の時のスタジオ録音だが、これは数あるキーシンの録音の中でもベストの一つではないかと思えるほどに鮮やかな演奏。この「シャコンヌ」を弾いていた20歳代のキーシンのピアノの切れ味は凄い。

シューマン : クライスレリアーナ&バッハ / シャコンヌシューマン : クライスレリアーナ&バッハ / シャコンヌ
(1998/11/06)
キーシン(エフゲニー)

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キーシンが弾くと、それまで聴いていた曲が、別の曲のように聴こえるくらいに鮮やかさ。
初めてこの曲を聴いた時でも、冒頭を聴き始めてすぐ、凄いと思ったくらいに強烈な印象だった。
冒頭の和音は曖昧さの全くない強いタッチと濁りのない深い響きは、揺らぎのない堅固さを感じさせる。
タッチや音色・響きはミケランジェリのように多彩ではないけれど、和音が幾重にも重なった荘重な響きを主体にして、まるで大聖堂の中で鳴り響いているような音響空間をつくっている。
この音響がほぼ全編に流れているので圧倒されるような迫力。

叙情性を強く出した弾き方で、旋律をよく歌わせ、起伏を大きくつけたダイナミックで華麗な「シャコンヌ」。
厳粛さやストイックさは希薄かもしれないけれど、その反面、人間的な近さを感じさせるところがある。
ミケランジェリとは違った「シャコンヌ」だけれど、ミケランジェリの演奏と同じくらい良く聴いている。
今のところは、この2人の弾く素晴らしいシャコンヌを聴くだけで十分なくらい。


Bach-Busoni: Chaconne in D Minor (Kissin)




こちらは1996年5月8日のRoyal Festival Hallでのライブ音源。
スタジオ録音よりも、音が柔らかいので、耳ざわりが良い。
緩急の変化が大きいせいか、スタジオ録音よりも演奏時間が1分ほど長い。
特に緩徐部のまったりとしたタッチが粘着的に感じるので、私の好みとしては淀むことのないスタジオ録音の方を聴きたい。

Evgeny Kissin - Bach, Busoni - Chaconne in D minor

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2 Comments

よんちゃん  

こんにちは。

「シャコンヌ」はピアノ編曲版を聞いたことがありません。
同じ曲でも弦楽器でやるのとピアノでするのでは受ける感じが違います。そこで聞く楽しみが増えるので、ピアノ盤をいつか聞いてみたいですね。

2009/01/21 (Wed) 09:50 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

原曲とは違うイメージがしてきます

よんちゃん様、こんにちは。

「シャコンヌ」はヴァイオリンで弾く静謐な世界が苦手で、厚みのある響きでドラマティックなピアノ編曲版ばかり聴いています。原曲とは違う壮麗な響きが美しくて、大聖堂のなかで鳴り響いているようなイメージです。

ミケランジェリ、キーシンとも素晴らしい演奏です。最近では、グリモーも録音していますが、かなり情緒的な弾き方で私の好みには合いませんが、2人とは違った「シャコンヌ」が聴けます。

ピアノで弾く「シャコンヌ」はとてもおすすめの曲です。ぜひ一度聴いてみてくださいね。



2009/01/21 (Wed) 12:33 | REPLY |   

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