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ジョン・ラター 『Fancies』
クリスマスが近づくと必ず聴きたくなるのは、ジョン・ラターのアルバム『Fancies』。
ラターは1945年生まれなので、現役の現代作曲家で指揮者でもある。
彼は主に合唱曲を作曲している。管弦楽曲もいくつかある。
自らの教え子を集めて設立したケンブリッジ・シンガーズを指揮して、いくつもの録音を残している。

Fancies: Music by John RutterFancies: Music by John Rutter
(1993/09/13)
Simon Davies、

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このジャケットのイラストはまさにラターの曲の雰囲気そのもの。このイラストがあまりに可愛かったので買ったような気がする。今は廃盤になって、愛想のないジャケットの廉価盤がリリースされている。


彼は一応クラシック音楽の作曲家ではあるけれど、現代的な無調性音楽や前衛音楽とは全く無縁の作風。
ポップスのような親しみやすく美しい旋律がトレードマーク。
いわゆる反動音楽家なのかもしれないけれど、本当に美しくリリカルな旋律が多くて、一体これのどこが悪いんだと思ってしまう。
その徹底した”高尚な”現代音楽無視の作風のせいで、多分クラシック音楽界で評価されているとはいえない。
反現代音楽的なクラシック作曲家という点では、音楽の方向性は違うけれど、日本の吉松隆のような作曲家。
ただ、わかりやすいのは良いけれど、噛み応えに欠けるところがあるので、ラターの曲ばかり聴いていたら飽きるとは思うけど。

                              

このCD『Fancies』は、オーケストラ伴奏付きの合唱曲『Fancies』と『When icicles hang』、アカペラの『Childhood Lyrics』、管弦楽曲『Suite Antique』の4つの組曲を収録している。
インストウルメンタルの方が好きなので『Suite Antique』を一番良く聴くけれど、他の合唱曲も良い曲がいろいろ入っている。
曲風は叙情的ではあるけれど、過剰な情念や重さ・深刻さは全くないので、聴き終わるととても爽やかな感じが残る。
録音は1991年。音質はクリアで透明感が良くでている。(やや後方から)軽やかなオーケストラの響きと、透明感と暖かみのある合唱の歌声が鮮やか。

アルバムのタイトル曲でもある『Fancies』。
第4曲「Riddle song」は、澄んだソプラノの歌声とバックで流れるハープの響きがとても美しい哀感の溢れる曲。この組曲ではこの曲が一番美しい。
ケンブリッジ・シンガーズの合唱は透明感があってとてもリリカル。さっぱりとした情感があって軽やかな歌声なので、とても心地よい響きがする。
オーケストラ伴奏も曲に合わせて軽やか。弦楽器よりも管楽器のいろんな音が聴こえてくる。

管弦楽曲の『Suite Antique』。
この組曲だけ繰り返し聴いてしまうほど、フルートが吹く旋律がとても美しい。
ハープシコードも使っていて、とても優雅な音色。オーケストラ伴奏も流麗で本当に素敵な組曲。
6曲構成で、曲想の違いを明確にしているので、変化があって面白く聴ける。
日曜日の朝に窓から差し込む明るい陽ざしの中で聴きたくなるような組曲である。
第1曲「Prelude」と第3曲「Aria」はフルートがソロで奏でる哀感のある旋律が美しい。
第2曲「Ostinato」と第4曲「Waltz」は、思わず微笑んでしまうかのような軽快さと洒落たところのある曲。
第5曲「Chanson」は、安らぎに満ちた穏やかな曲。こういう雰囲気は柔らかくて暖かみのあるフルートの音色が良く似合う。
第6曲「Rondeau」は終曲らしい華やかさと明るさのある曲。
この組曲はフルートのソロが主旋律をずっと吹いているので、フルート協奏曲と言ってもよいくらい。

『Childhood Lyrics』はアカペラ。
アカペラは苦手だけれど、第4曲の「Matthew,Mark,Luke and John」は敬虔さが感じられる静かで美しい曲。宗教曲のような雰囲気で、なぜか急に真面目な曲になっている。

『When icicles hang』は再びオーケストラ伴奏付き合唱曲。
この組曲までたどり着くと、今まで聴いた曲と似たような雰囲気の曲が続いているので、そろそろ飽きてくるところ。
ただし、第4曲の「Blow,blow,thou winter wind」は透きとおった哀感の漂う旋律で、ソプラノの儚げな歌声が美しい。この組曲はこの曲さえ聴けば満足してしまう。

Tower Choir - Blow, Blow Thou Winter Wind



なぜか1年のうちでも12月のクリスマスの頃にだけ聴きたくなるというアルバム。
このアルバムの曲は聴くだけでも楽しいが、それよりもラターの曲は自分で歌う方がずっと楽しいと思う。
バッハのクリスマス・オラトリオやヘンデルのメサイアではなく、もっとカジュアルなスタイルのクリスマス・コンサートで演奏するなら、このラターの曲はかなりおススメの曲。
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お返事です
コメントありがとうございます。

この記事がお役に立てたようで、良かったです。
私は自分で歌を歌うことはないのですが、ラターの曲は、聴くよりも歌った方が、ずっと心に響くような気がします。
”Blow, Blow Thou Winter wind”は、特に美しく思えて、お気に入りの曲です。

スーザン・ボイルは、英国でのオーディションの番組をYoutubeで観ました。何度も見ても(聴いても)、楽しめる映像と歌ですね。
その後、何枚か出したアルバムは聴いたことがありませんが、彼女の歌声と雰囲気に、ラターの曲はとても良く似合うと思います。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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