*All archives*



ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
CDラックの中を探すと、なぜかあまり聴かないはずのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のCDが結構たまっている。ついでにナクソスのオンラインでもいろいろ探して聴いてみると、面白い演奏をいくつか見つけた。こういうときにまとめて集中的に聴くと、ピアニストの個性が良くわかって面白い。

ルービンシュタイン、リヒテル、ツィメルマン、キーシン、ヴァーシャーリ、グレムザー、マルシェフはここに記録。カッチェン(2種)、カペル、コチシュ、最後に聴いたワイルドは別々にまとめている。

ルービンシュタイン/ライナー指揮シカゴ交響楽団

ルービンシュタインのラフマニノフをなぜ買ったのか覚えがないが、この演奏はショパンのような華麗さはないが、流麗なラフマニノフ。激情や力強さはそれほど強調していなくて、肩に力が入っていない自然体で弾いているようなピアノ。
第2楽章はもっと詩情豊かに情感を込めて歌うかと思ったけれど、わりとあっさりとした弾き方だった。
ここぞというところで馬力にやや欠けるところがあるが、落ち着きと節度のある品の良い演奏だとは思う。でも、ちょっと渋くて地味かな~という気はする。

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲
(2000/10/25)
ルービンシュタイン(アルトゥール)

商品詳細を見る

私の持っているのはこの盤ではなく、かなり古いCDなので、くぐもった音がするので音質があまり良くない。最近ではSHM-CDのCDもリリースされているので、それを聴けば演奏の印象が変わるかもしれない。


リヒテル/ヴィスロツキ指揮ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽

リヒテルの演奏はラフマニノフの第2コンチェルトの名演とされるもの。聴いてみるとやはり他のピアニストの演奏とは別格だと感じる。
世評が高いのでここでいろいろ書く必要もないが、フォルテで弾くところは力でねじ伏せようとするかのようなある種の強引さを感じる。それに、氷のつららのような冷たい鋭さも感じることがある。
ゆっくりとしたテンポで悠然としたピアノとオケの演奏で、ロシアの広大な大地から立ち上がってくるかのような力強さがあるが、聴いた後には重たさが強く残る。
好みの弾き方ではないので度々聴きたいとは思わないが、相性や好みの問題は別にして、聴いておいて損のない演奏だった。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
(2001/10/24)
リヒテル(スヴャトスラフ)

試聴する



ツィメルマン/小澤指揮ボストン交響楽団

20年以上前にバーンスタインの指揮で弾いていたブラームスのピアノ協奏曲第2番が素晴らしく、それ以来ずっとツィメルマンを聴き続けている。彼が音色と響きに非常にこだわりを持ち始めてからは、以前ほど感動することはなくなってきているが。
ツィメルマンは相変わらずメカニックは完璧。高速のパッセージでも粒立ちが良く、音質は丸みを帯びて伸びやかさがあり、録音音質が良いこともあって、響きのバリエーションも豊富で美しい。
このラフマノニフは華やかで流麗だが、ロシア的な雄大な重厚さ、ほの暗い憂愁、スピード感・力感といったものはほとんど感じさせない。
まず最大の問題はオケとピアノのバランスの悪さ。ピアノが前面に出すぎていて、オケが後ろの方が鳴っている。こんなにオケの存在感なラフマニノフもめずらしい。ピアノばかりが良く鳴っていて、ピアノ独奏曲を聴いているような気がするところもある。
ツィメルマンはもとから打鍵が力強くはない方なので(特に低音部)、やはり力感不足気味。それをオケがカバーしていないので、ピアノの音だけがスラスラと綺麗に流れているけれけれど、迫力不足。かといって、ロシア的憂愁を情感豊かに歌うというわけでもなく、響きはすこぶる綺麗だけれど、わりとあっさりとした叙情が漂う。
それに音色と響きに耽溺したようなところがあって、ドビュッシーならかまわないが、ラフマニノフはそういうタイプの音楽ではないので、なんか違うんじゃないかと思えてしまうところはある。
ツィメルマンのテクニックの鮮やかさや、こういう流麗なラフマニノフを好む人なら、これでも十分満足できるとは思う。(実際、これを名演だという人も結構いるようだし)
他のいろいろなタイプの演奏を聴いてしまった後では、余計に物足りなさを感じてしまう。バルトークのコンチェルトもそうだけれど、こういうパワーの必要なコンチェルトは彼にはあまり向いていないのではないかという気がする。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番&第2番ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番&第2番
(2004/01/21)
ツィマーマン(クリスティアン)

試聴する



キーシン/ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団

キーシンが弾くと、どんなに聴きなれた曲でもいつも新しい発見がある。このラフマニノフにも、キーシンの繊細な感性が良く出ている。
ツィメルメンとは違う音楽のつくり方で、重厚な響きや力強いフォルテでガンガン弾くのではなく、キーシンらしい瑞々しくきらきらと輝きのある音色と響きで、1音1音を丁寧に情感を込めながら弾いている。特に、第2楽章は水が流れるかのように流麗で深い情感が込められている。
どんなに力強く弾いてもやや迫力には欠けるところはあるけれど、この弾き方だとさほど気にはならない。
クセのない素直で伸びやかな弾き方で、全3楽章を精緻に叙情豊かに歌い上げられるという高い音楽性がある。
かといって微に入り細を穿ったような凝った演奏ではなく、大きな起伏やうねりをもったダイナミックさがあるので、聴き終わった後はとても爽快。
弱冠16歳の時の録音なので、やや傷つきやすさを感じさせる線の細いデリケートさはあるが、若々しい新鮮な感性と、爽やかな詩情に溢れている。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&音の絵ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&音の絵
(2008/10/22)
キーシン(エフゲニー)

試聴する



ヴァーシャーリ/ユーリー・アーロノヴィッチ指揮ロンドン交響楽団

1970年代に結構売れていたというヴァーシャーリのラフマニノフのピアノ協奏曲集。今どきこのCDを初めて聴こうと思う人は少ないと思う。
全楽章ともかなりのゆったりとしたテンポ。数ある演奏のなかでもかなり遅い方の演奏だと思うが、ヴァーシャーリはどの部分でも、表情豊かに旋律を歌っている。
感情を強く訴える弾き方ではないので、ウェットな感じはあまり強くない。激情的なテンポの揺れや、強弱のコントラストはつけていないが、細部に至るまで繊細な叙情を織り込みしっとりとした情感が漂っている。
ピアノの力感がやや弱く、力強さと迫力不足気味ではあるが、逆に単調さや荒っぽさのない丁寧な弾き方ではある。
終盤はオケの迫力は十分だが、ピアノはやはり力強く迫るというよりも、豊かな響きで華麗に盛り上げていき、クライマックスは壮麗で美しく終わる。
全編終始一貫して、しとやかで深い詩情に溢れて、品の良さを感じる。

Rachmaninov: The Complete Piano ConcertosRachmaninov: The Complete Piano Concertos
(1998/07/14)
Sergey Rachmaninov、

試聴する



グレムザー/ヴィト指揮ポーランド国立放送カトヴィツェ交響楽団

ロシア的憂愁ともクライマックスの熱狂とも無縁なクールな演奏。
このディスクのピアノの音の響きは美しくはあるが、音がやや遠めで音量が小さいせいか、ピアノが迫力不足に聴こえる。
全ての音が粒立ちよく鳴り響いているが、力感があまりないせいか、かなり歯切れのよい軽やかなタッチで、難なくスラスラと弾いているような印象。
かなりさっぱりとしたラフマニノフ。無色透明とは言わないまでも、淡い水彩画のようだ。
濃いラフマノニフに飽きた人には良いかもしれない。


Rachmaninov: Piano Concertos Nos. 2 and 3Rachmaninov: Piano Concertos Nos. 2 and 3
(1998/09/29)
Sergey Rachmaninov、

試聴する



マルシェフ/ロッホラン指揮オーフス響

落ち着きのある丁寧な演奏で、しっとりと優しげな情感に溢れている。
ピアノのテンポは遅めだが、隅々まで神経の行き届いたような細やかさがある。神経質的な繊細さやウェットな情感ではなく、さっぱりとしたさりげなさと自然な情感を感じさせる。
わりと粒立ちの良い音なので、かなり細部まで明瞭。響きが柔らかいせいか演奏にもまろやかさがある。その分、若干力感不足という気はする。
オケもピアノに合わせて、むやみに白熱はしていないが、ゆったりと渋めの響きで叙情も豊かに、ピアノに寄り添うような伴奏で、聴いていて心地よいものがある。
第3楽章の有名な叙情的な旋律も、壮大に情感たっぷりに歌い上げるということはせず、語るように優しいピアノとオケの演奏が美しい。
マルシェフのプロコフィエフのピアノコンチェルトも、ガンガン勢いで弾くのではない丁寧な弾きぶりらしいので、もとからそういう音楽を作るピアニストらしい。
このラフマニノフは、スピード感・白熱感やラフマノニフ的憂愁は希薄だが、落ち着いた穏やかな表情が美しい、爽やかな演奏。重厚・パワフルな演奏ばかり聴いて疲れた時に聴くと、この演奏の味わいがよくわかる。

Rachmaninov: 4 Piano ConcertosRachmaninov: 4 Piano Concertos
(2002/12/28)
Marshev, Aarhus Symphony, Loughran

試聴する

tag : ラフマニノフ キーシン リヒテル ツィメルマン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。