カッチェン ~ ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 (1)フィストゥラーリ指揮新交響楽団盤  

2009, 01. 13 (Tue) 20:02

カッチェンがDECCAに残した録音を収録したBOXセットの中で、一番初めに聴いたのがこのラフマニノフの第2番のコンチェルト。力強さと深い詩情とが絶えなく交錯した美しくドラマティックなラフマニノフだった。

伴奏はアナトール・フィストゥラーリ指揮新交響楽団(New Symphony Orchestra)。1951年のモノラル録音。
古い録音なので音質はそれほど良くなくて、ピアノとオケの音の分離がやや悪く、音色や響きは痩せている。ピアノの音自体はわりとクリア。

Julius Katchen: Decca Recordings 1949-1968 [Germany]Julius Katchen: Decca Recordings 1949-1968 [Germany]
(2006/01/02)
London Symphony Orchestra,Suisse Romande Orchestra

試聴ファイル


ituneには、このコンチェルトの演奏だけカッティングされた別のアルバムが登録されていて、全楽章をアルバムごとダウンロードできる。<アルバムの掲載サイトへのリンク>

第1楽章の冒頭から、強靭な打鍵と重々しい響きのカッチェンのピアノ。オーケストラ伴奏もピアノに合わせて重厚壮大に始まる。
カッチェンらしい鋭いタッチと、硬質で透明感のある音色で、清々しくもきりっとした引き締まった演奏。
テンポは速めで、細かい高速のパッセージが続くと、感情が高ぶっていくようで、ドライブがかかったように徐々にピッチが上がっていく。
ルバートをたっぷりかけ、波のようにうねりのあるクレッシェンドとデクレッシェンドがとてもドラマティック。オーケストラ伴奏もピアノのうねりに合わるように抑揚を大きくつけている。

第2楽章の緩徐楽章は詩情豊かなピアノが冴えている。
力を抜いたとても柔らかなタッチの弱音は優しげ。時々急に高揚して力強いタッチで激しく弾くところがいくつもある。深く静かな叙情と湧き上がる激情とが交錯し、かなり感情の揺れが激しい。
オケの伴奏もピアノに合わせて、繊細な弦の響きで寄り添ったり激しく掻き鳴らすように高揚したりと、とてもよく歌う抒情ゆたかな伴奏。フィストゥラーリは繊細で叙情的な指揮をすることで有名だった指揮者らしい。

第3楽章は、冒頭のピアノソロがとても力強い。カッチェンのメカニックの切れ味が抜群に良く、本当に良く指が回ること。かなりテンポを上げているが、どんなに速いパッセージをフォルテで弾いても音の粒立ちが良く、力強く鋭い打鍵で揺らぎのない安定感がある。惚れ惚れするような切れの良さである。
いつものようにここでもピアノが突進していて、かなり激情的でダイナミックな弾き方。テンポを落としてゆっくりと叙情豊かに弾くところは、細かな起伏や大きな抑揚をとりまぜて、ピアノがとてもよく歌っている。叙情的とはいっても、情念のべたつきの全くない若者らしい清々しさがある。
ラスト近くに超高速のアルペジオで鍵盤上を駆け巡るところは圧巻。ラストはオケも雄大、ピアノも力強くて実に爽快。当分この曲を聴くのがクセになりそうな気がする。


 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ

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