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パブリック・ドメインをめぐる最近のトピックス
パブリック・ドメインとは
Wikipediaの定義では「著作物や発明などの知的創作物について、著作者や発明者などが排他的な権利を主張できず、一般公衆に属する状態にあることをいう。」
著作権の存続期間や著作隣接権の保護期間が経過すると、パブリック・ドメインになり、誰でも自由に利用できるようになる。

活用事例
「インターネッ電子図書館「青空文庫」
日本でパブリック・ドメインの著作物を活用した優れた(と私が思う)事例は、インターネット電子図書館「青空文庫」
著作権存続期間が経過して権利消滅した文学作品や、作者が利用許諾した作品を公開している。これは書籍を元に地道に入力作業をしてテキストデータを作っているが、ほとんどがボランティアによる協力で成り立っているようだ。
ちょっと参考に見たい場合や、購入検討のために内容を知りたい場合は、とても便利なサイトである。

クラシック音楽の分野における活用方法は主に2種類ある。
「IMSLP / Petrucci Music Library」(国際楽譜図書館プロジェクト)
著作権の存続期間が経過した楽譜がインターネット上で公開され、無料でダウンロードできる「IMSLP / Petrucci Music Library」(the public domain music score library)
ネットユーザー(と思う)がボランティアで自分でスキャンした楽譜をアップロードしているようで、かなりの数の作曲家をカバーしている。極めてレアものでない限り(それもダウンロードできるかもしれないが)、入手できる確率はかなり高い。
現代の作曲家の楽譜や編曲版の場合は、著作権が存続している場合が多いので、手薄ではある。
自分では演奏しないけど楽譜を見ながらCDを聴きたいときや、楽譜がバカ高い場合(クラシックの輸入楽譜は高価なので)にはとても便利。
このサイトを知ってからは楽譜を買うことがなくなってしまった。
楽譜を見ながら演奏を聴くと、楽譜に表現された内容を演奏者がどのように解釈して演奏しているのかが、良くわかる。

「パブリック・ドメイン音源を利用したCD」
著作隣接権の保護期間が経過した実演(コンサートやリサイタルでの演奏)の録音をCD化して発売するというもの。
歌手や演奏家によるパフォーマンスは、著作権ではなく、著作隣接権で保護されている。権利の保護期間は、演奏者の死後から起算されるのではなく、演奏した時から起算される。

たとえば、1957年のルドルフ・ゼルキンのルガーノ・ライブは、50年後の2007年にURNIAからライブ音源をもとにCDリリースされている。
このレーベルは生前ゼルキンが契約していなかったいわゆるサードパーティ(というのだろうか)の会社のはず。(ゼルキンは、CBSソニー、ドイツ・グラモフォン、テラークと契約していた)
CDには、”ルガーノで録音されたパブリック・ドメインの演奏”と英語で明記されている。
わざわざ明記しているということは、ゼルキンの親族の許諾なしでリリースしたものだと考えられるが、法的には違法ではない(はずである)。

最近、古いライブ音源を利用した廉価盤のCDが数多く出回っているが、おそらくこのパブリック・ドメインの音源を利用したものが多いからだと思う。

著作隣接権の保護期間
著作隣接権の保護期間については、いろいろと議論されている。
米国では現行でも実演後95年間と長期にわたっているので、さほど問題になってはいないようだ。
日本では著作権存続期間(現行は著者の死後50年間)の延長が問題になっていて、著作権が延長されたら、現行50年間の保護期間である著作隣接権も問題になるだろう。
EUでは、従来は著作隣接権の保護期間が実演後50年だったが、期間が短かすぎるとして、95年に延長する提案を2008年7月に欧州委員会が採決した。
EU閣僚理事会と欧州議会でこの欧州委の提案について検討することになっているので、今検討中なのだろう。
(参考)http://lait.jp/copyright.php?itemid=495

この保護期間の延長には反対する人も少なくないようだ。
著作権については、存続期間が死後起算なので、現行でもさほど問題があるとは思えない。
著作隣接権で保護される演奏活動については、レコード会社、放送局、演奏者本人、ビジネスとして活用したい(している)会社などが関わっており、著作権問題と同様、立場の違いから賛否両論ある。
特に気になるのは、演奏者の生存中に、過去の演奏活動の録音がパブリック・ドメイン化すること。これは演奏者本人にとっては、納得がいかないでしょう。
ピアニストが演奏するために費やす努力や苦労がわかるだけに、演奏者の立場を考えれば、保護期間が延長されることに反対する気は全くしない。
少なくとも演奏者の生存中はパブリック・ドメイン化しないくらいは、認められても良いのではないかと思う。
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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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