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サン=サーンス/組曲「動物の謝肉祭」<動物学的幻想曲>
「子供の日」なので...というわけでもないけれど、カッチェンの録音を探していて見つけたこのCDは、ブリテン「青少年のための管弦楽入門」、プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」、サン=サーンス「動物の謝肉祭」が収録されていて、ショーン・コネリーのナレーション付き。

「青少年のための管弦楽入門」と「ピーターと狼」はドラティ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で1965年録音。ショーン・コネリーのナレーションはこの2曲のみ。
「動物の謝肉祭」は、スキッチ・ヘンダーソン指揮ロンドン交響楽団の演奏で1960年録音。
ピアノは、ジュリアス・カッチェントとゲイリー・グラフマン。当時のアメリカ人若手(というか中堅)ピアニストの2人は友人同士なので、息も良く合っている。

ブリテン:青少年のための管弦楽入門/プロコフィエフ:交響的物語「ピーターと狼」/サンサーンス:組曲「動物の謝肉祭」ブリテン:青少年のための管弦楽入門/プロコフィエフ:交響的物語「ピーターと狼」/サンサーンス:組曲「動物の謝肉祭」
(2001/04/25)
カッチェン, グラフマン,ヘンダーソン, ドラティ,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団, , ロンドン交響楽団,ショーン・コネリー(ナレーション)
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「青少年のための管弦楽入門」と「ピーターと狼」は小学校や中学校の音楽鑑賞の授業でよく聴かされる曲。そんな数十年も昔のことはすっかり忘れているが、今聴くと耳がリフレッシュされる気がする。
「青少年のための管弦楽入門」は副題が「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」。パーセルの音楽を愛したブリテンの変奏が鮮やかに展開するが、なによりも主題の旋律の綺麗なこと。
「ピーターと狼」はプロコフィエフが作曲したのをようやく思い出した。
子供向けとはいえ(子供向けだからなおさらともいえるが)、目の前に情景がうかんでくるようなイメージ喚起力の強い曲。
楽器には、あらかじめ役割が与えられていて、小鳥=フルート、アヒル=オーボエ、猫=クラリネット、狼=ホルン、鉄砲=ティンパニ、ピーターのおじいさん=ファゴット、ピーター=弦楽合奏。
この楽器の音色と役割が区別できれば、ストーリーが随分わかりやすくなる。
ナレーションのコネリーの声は、「アンタッチャブル」を勉強がてら吹き替えなしで聴いていたのでとても懐かしい。

聴きたかったのは、全曲を通して聴いたことはなかった「動物の謝肉祭」。
有名なのは「白鳥」。ピアノで弾いたこともあるので良く知っている。チェロの小品としても定番の曲。
タイトルは知らなくても「終曲」は運動会でよくかかっているので、聴いたことがある人は多いはず。
ほとんどの曲でピアノが2台入っているが、カッチェンとグラフマンのどちらがどのパートを弾いているのかブックレットに書いていない。聴く分にはそれがわからなくても何の問題もないけれど、タッチや弱音の響かせ方から考えて、第1ピアノがカッチェン、第2がグラフマンだろうか。連弾のように高音部と低音部にピアノパートが分かれてはいないので、余計にわかりにくい。

1.序奏と獅子王の行進曲
冒頭から派手めのピアノで始まる。獅子王が行進するところのテーマは有名。

2.雌鶏と雄鶏
ピアノ、クラリネット、弦楽器の音が鶏の鳴き声。

3.野生のロバ
2台のピアノが高速のスケールで上下下降するのが爽快。当然のこととはいえ、高速のユニゾンでも音の粒がクリアできちっと音が揃っている。
ロバ=大人しいが鈍い-というイメージがあるので、ロバにしてはあまりにテンポが速いような気がするが、わざわざ「野生の」とつけているのは、飼われているロバとは全然違うと言いたいらしい。

4.亀
主題の旋律はオッフェンバックの「天国と地獄」の<カンカン>。これをトロトロと演奏するので、のろまのカメさんそのもの。

5.象
ワルツにしては極めて鈍重。象さんらしい。ベルリオーズの「ファウストの劫罰」の「妖精のワルツ」を象が踊っているそうだ。

6.カンガルー
カンガルーの飛び跳ねて立ち止まる仕草を、装飾音と和音で表現しているらしい。
オーストラリアでピョンピョンと元気に飛び跳ねるカンガルーのイメージがあるので、少し大人しすぎるような気がするが...。

7.水族館
フルート、弦、ピアノとハーモニカによるとても幻想的で美しい旋律。「水族館」の様子だと言われても、十分納得してしまう。
この録音では、グラスハーモニカの代わりに鉄琴(かチェレスタ)が使われている。

8.耳の長い登場人物
ロバのことらしいが、ヴァイオリンが鳴き声らしい音を出しているとても変わった曲。
これは音楽評論家を風刺している曲とも言われているが、ロバが2回も出てくるのも変な気がするのでそれは当たっていると思う。
マーラーも歌曲集「不思議な子供の角笛」の<高き知性をたたえて>という曲で、評論家を風刺していた。作曲家(に限らないが)は評論家がお嫌いらしい。

9.森の奥のカッコー
ピアノは森の静けさ、クラリネットの3度はカッコウの鳴き声。これは良く雰囲気が出ている。

10.鳥小屋
フルートが軽やか、ピアノは小鳥のさえずり。これもよくイメージが出ている。

11. ピアニスト
ツェルニーの練習曲(らしい)を繰り返すピアニスト。
楽譜には「ピアニストは、ためらいがちに、初心者がおそるおそる弾いているような真似をするべきである」と、わざわざ編集者の注記が載っている。
その通りに、わざと下手っぽく弾いてはいるのだが、もっと下手に弾いている演奏も聴いたことがある。やっぱりカッチェンもグラフマンも上手すぎる2人なので、全然下手には聴こえないのがご愛嬌。

12. 化石
サン=サーンス自身の「死の舞踏」の「骸骨の踊り」、有名な「きらきら星変奏曲」、「セビリアの理髪師」の「ロジーナのアリア」とかの旋律が使われている。化石のような古めかしい音楽という風刺らしい。

13. 白鳥
チェロ独奏曲として、サンサーンスの生前に出版された曲。他の曲は出版を許さずに死後出版された。ユーモアとアイロニーが混ぜ合わさったこの作品を、サン=サーンスは駄作とでも思っていたらしい。
ゴドフスキーが編曲したピアノ独奏版もあり、これはスティーブン・ハフが『THE PIANO ALBUM』に録音している。

14. 終曲
オッフェンバックの「天国と地獄」のフィナーレからの転用した旋律が主要主題だが、他の曲で使っていた旋律(動物)も出てくるという賑やかな終曲。リズム感とスピード感があり、ピアノもとても元気で華やか。

「動物の謝肉祭」は全曲を通してきくと、これが結構面白い。
「水族館」と「鳥小屋」は、楽器の使い方や響きが面白く、旋律がとても美しい。
ピアノがダイナミックなのは「野生のロバ」と「終曲」。この2曲が一番気に入っている。
同じフランス人の作曲家でも、プーランクは暖かさのある洒落っ気を感じるが、サン=サーンスのこの曲はかなりシニカル。
この曲はサン=サーンスが自作の演奏旅行中に作曲したものだが、その演奏が不評だったし、旅の疲れもあるしで、いつもとは違う気分だったのかもしれない。


 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ

tag : カッチェン サン=サーンス

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おお、「動物の謝肉祭」ですか
Yoshimiさん、こんにちわ

おお、サン・サーンスの「動物の謝肉祭」ですか。私がこの曲を初めて聴いたのは、本にソノシートが付録として付けられていたもので、「渡辺暁雄指揮日本po.」によるものでした。と言っても、全曲ではなく前14曲中9曲のみ収録されているものでしたが。今、リストを調べてみましたが、CDを含めて、全曲の録音は持っていませんでした。全曲を聴いたのは、どこかのコンサートでだったと思います。

「白鳥」と言えば、やはり、バレエ「瀕死の白鳥」になってしまいますが、こちらの映像は幾つか観たことがあると思います。両手が波打っている感じには驚いた覚えがあります。

サンサーンスの曲では、「バイオリン協奏曲第3番」が最も好きです。
「動物の謝肉祭」のCDは結構面白かったです
matsumo様、こんにちは。
コメントありがとうございます。

「動物の謝肉祭」は意外と全曲は聴いていないものだと思います。
小学校の音楽の授業で聞いていることは多いはずなんですが、そんな昔のことは忘れてます。私は全く記憶にありませんし。
昔はソノシートが本の付録によくついていましたね。小さい頃は、童謡とかをそれで聴いてました。あれでも一応ちゃんと音はでてました。

「動物の謝肉祭」はメインの曲にカップリングされてCDに入っていますから、偶然持っているということの方が多いでしょう。
私はカッチェンの録音をくまなく集めているので、この曲自体が目的でしたが、ブリテンとプロコフィエフも聴けたので、このCDには結構満足しています。

バレエの「白鳥の湖」は、ロシアのバレエ団の来日公演がフェスティバルホールであったので、それを観た事があります。
舞台から距離があるので、大まかな動きはわかりますが、オーケストラが生で聴けるというメリットがあるとしても、映像の方が指先の繊細な動きまでよく見えて良いように思います。

サン=サーンスはピアノ協奏曲集が好きで聴いていますが、ヴァイオリンの方は聴いたことがないのです。(そもそもヴァイオリン曲自体をあまり多くは聴いていないので。)
ナクソスのオンラインですぐ聴けるので、一度聴いてみます。
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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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