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吉松隆/ソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」
吉松隆のソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」(Op.93)は、日本のサクソフォン奏者須川展也の委嘱により作曲されたもの。
CHANDOSから昨年5月にリリースされた須川展也の最新アルバムが初録音となる。伴奏は佐渡裕指揮BBCフィルハーモニック管弦楽団。

作曲者自身の作品解説はこちら(<協奏曲>タブにあります)
初めは、前作サイバーバード協奏曲の〈動〉に対して〈静〉、全編ピアニシモでアダージョという構想だったが、クール&ビューティな〈ガルバレク・モード〉と、ホット&ディープな〈コルトレーン・モード〉の2章仕立てに転換。
その二重性と二連性を象徴するものとして、白鳥座のβにあたる二重星〈アルビレオ〉にイメージが収斂して行ったという。
どこかで聴いたことのある名前だと思ったら、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に<アルビレオの観測所>というのが出てくるのだった。
クール&ビューティの第1章は〈トパーズ〉、ホット&ディープの第2章は〈サファイア〉。命名も洒落ている。
吉松隆の作品解説はいつも面白い。抽象的な概念と詩的なイメージとが連結されて、それを音符に移し変えると、彼の美しい音楽が聴こえてくる。

Nobuya Sugawa Plays Honda, Yoshimatsu, Ibert & LarssonNobuya Sugawa Plays Honda, Yoshimatsu, Ibert & Larsson
(2008/05/27)
Nobuya Sugawa、

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ソプラノ・サクソフォン協奏曲『アルビレオ・モード』 Op.93
吉松隆の協奏曲の新作を聴くのは久しぶり。チェロ協奏曲の「ケンタウルス・ユニット」以来だろう。
最近は室内楽の作品が多いが、交響曲や協奏曲の方が作品自体のスケールが大きくて面白いし、彼の独特の音色と響きが聴こえてきて楽しい。

第1章〈トパーズ〉は、冒頭から夢の中にいるような透明感のある響きと旋律で始まる。弦パートは彼のトレードマークのような旋律と音色で、ハープとパーカッション(それも3つ)も加わって、この響きの美しさにはうっとりとする。
ソプラノ・サックスの音色は、クラリネットみたいでとても心地よい。オーケストラの伴奏も、いろんな楽器が伴奏に入ってくるが、音色や響きやリズムも変わっていくところが面白い。
クール&ビューティというコンセプトどおり、この楽章は静謐さと夢を見ているような幻想的な雰囲気がしてとても美しい。冬の寒い夜にはとてもよく似合う音楽。
調性音楽とはいえ、どこかしらズレのようなものがあって、やはり現代の音楽らしさは消せない。なぜかブリテンの曲を連想してしまう。

ホット&ディープの第2章は〈サファイア〉。ホットといっても単純に白熱する楽章というわけではない。ソプラノ・サックスが旋律と伴奏に動きと厚みと不協和が徐々に増していき、一度は飽和状態で崩壊したように拡散していくが、こんどはサックスがリズム感よくあちこち動き回っていくが、オケが乱れ気味の音でかき乱すなかを、ついには尺八のような音色と響きで叫びだす。
サックスは再び静かな旋律に戻って、ピアノやパーカッションが鳴らすリズムに乗って、軽やかで楽しそうに動きまわる。とても洒落た雰囲気で、旋律と響きには品がある。と思ったら、また尺八の如く、つぶれたような音で叫びだす。そしてラストへ向かって静けさへと回帰して終える。
この曲は旋律よりも、音色や響きの美しさとそれが次々に展開していくのを楽しむ曲。旋律自体は印象にあまり残らず、ソプラノ・サックスや伴奏で存在感のある楽器の音色と響きが印象的だった。

本多俊之/コンチェルト・デュ・ヴァン~風のコンチェルト~(世界初録音)
本多俊之はサックス奏者であり作曲・編曲もする。彼の曲は初めて聴くが、映画・CMなどのポップス系の音楽を手がけている。「風のコンチェルト」もポップな感じがして、非常に聴きやすい曲。
第1楽章は、ソプラノ・サックスの背後に木管・金管がいろいろ登場してきて、とても軽妙でユーモアを感じさせる。第2楽章は、一転して落ち着いた、やや気だるい雰囲気のある旋律。第3楽章は躍動感と力強さがあって、いろんな風があちこちから吹いてきてからみあっているような曲。
全体的に、曲自体に音色・響きの変化やバリエーションが乏しくて、やや平板な感じがする(演奏ではなく作曲の問題)。
コンチェルトというので、格式ばって作ったようなところがあるけれど、もっとポップなところを出した方が良いと思えた曲。

ジャック・イベール/11の楽器のための室内小協奏曲
第1楽章は動きのある旋律と色彩感とリズム感のある伴奏。主旋律はソプラノ・サックスが吹いているが、伴奏がなかなか聴かせる。第2楽章は小休止的にラルゲットの曲がはさまれて、第3楽章は再び軽快で明るい色調の曲。フランス音楽らしい華やかさもあって、聴いていてとても楽しい曲。
非常に手馴れた感じで作った感じがするのは、さすがにイベールらしい。

ラーシュ=エリク・ラーション/サクソフォン協奏曲
ラーシュ=エリク・ラーションは1908年生まれのスウェーデンの作曲家。現代音楽のカテゴリーには入るが、作風は折衷的。
このサクソフォン協奏曲も前衛性の強い曲ではない。第1楽章こそ現代音楽的な旋律と作りを感じさせ、イベールのような耳障りの良さはないが、第2楽章の美しいアダージョや第3楽章の軽快なスケルツァンドでは、古典音楽やロマン派音楽に類したような旋律が聴こえてくる。

ソプラノ・サックスなので音色が心地よかったので、最後までどうにか聴き終えた。ピアノの音なら1日中聴いても飽きることは全くないけれど、いくら聴きやすい曲が多いとはいえ、一度に4曲も現代のサクソフォン協奏曲を立て続けに聴くのは、やはり疲れるものがある。

tag : 吉松隆

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yoshimiさん、こんにちは。
ナクソスの音源をそれぞれ聴いてきました。
とは言っても、ほんのさわりばかりですけども~

アルビレオ・モードが素敵ですねえ。
冒頭のキラキラした音が、まるで星の欠片みたい。
と思ったら、白鳥座の二重星がイメージの元にあったんですね。納得。
それになんだか人形劇でも始まりそうな感じですね。
物語を感じさせます。
これは全曲通して聴いてみたくなりますね~。
Youtubeでも探してみたんですけど、アップされていないようで残念です。
あとはイベールの小協奏曲が気に入りました。特に第1楽章。
こういう楽しい曲は大好きです♪

サックスは好きなんですけど、なぜか全然曲を開拓してなくて…
まあ、ピアノで手一杯ってところも正直あったんですけど(笑)
こうやって見ただけでも、いろんな曲があるんですね!
当然もっといろいろとあるんでしょうし、聴いてみたくなりました。
色々さがしてみようかな~。
きっかけをありがとうございます♪
アルビレオ・モード、良いですね!
アリアさん、こんにちは。

アルビレオ・モード、なかなか良いでしょう!
音色や響きがとっても綺麗で独特です。タイトルも素敵ですね。
吉松隆作品は、わりと好きで初期の頃から聞いてます。
彼はソロに使う楽器の種類が多くて(サクソフォーン、琴、ギター、ハーモニカ、ピアノ、チェロなど)、一風変わった曲がみつかります。
イベールは、全体的に明るい色調の作品が多いですね。
たしか、佐渡裕の有名な録音があったような気がします。

米国のナクソスサイトだと、合計15分間で、どのトラックでも制限なく無料試聴できたはずです。
短い曲なら全曲聴けますから、結構便利です。

やっぱりサックス、吹けるのですね!
貧血気味の私には、ヘモグロビンが欠乏しそうな気がします。
楽器を2つ練習するのは、時間的に大変そうです。
サックスの消音器付きってあれば、自宅練習・深夜練習には便利かも。

サックスは、当然ながら、現代曲がほとんどですね。
ジャズはピアノカルテットでよく聴きますけど、クラシックは絶対数が少ないように思います。
でも、探せばいろいろあるものです。いくつか聴いても、やっぱりアルビレオ・モードは名曲でしょう。

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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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