ブラッヒャー/ピアノ協奏曲第1番、パガニーニの主題による変奏曲 

2009, 01. 30 (Fri) 20:47

ボリス・ブラッヒャー(Boris Blacher、1903年-1975年。ブラッハーと表記される場合もある)は、ドイツの現代音楽の作曲家。ヘルベルト・ケーゲルの師でもある。
代表作は「パガニーニの主題による変奏曲」。ジャズ風のモチーフを持った新古典主義的な作品である。
その後、前衛的な作風へと変遷し、屈折の多くみられる旋法を使用したり、軽快なリズム感や1小節ごとに拍子の変化する「可変拍節法」などがその作風の特徴といわれる。

ピアノ協奏曲は、コンチェルトとして2曲、ピアノと管弦楽のための「クレメンティの主題による変奏曲」の3曲がある。
聴いた限りでは調性音楽の枠内にはある音楽で、バルトークやプロコフィエフのピアノ協奏曲を連想されるようなリズム感、屈折するように絶えず変化していく旋律、アイロニーを感じさせるようなモチーフである。

ピアノ協奏曲第1番(Op.28)は、リズム感と躍動感もあり、旋律自体も不協和的な音ではあってもハーモニーは美しい。
第1楽章は、管楽器による序奏が終わると、突如ピアノが打楽器のように連打して入ってくる。プロコフィエフのコンチェルトを聴いているかのような響き。
リズム感とスピード感があり、明るい曲想とは言わないが、陰鬱さはなくダイナミックで軽快。旋律も短いモチーフが次から次へと現れる目まぐるしさ。オケの伴奏も弦は華麗、管は威勢が良い。なかなかこの楽章は面白い。
第2楽章のアンダンテは哀感が漂うとても美しい曲。弦の旋律は流麗。ピアノが内面をつぶやくようにいろんな歌を歌っているのが綺麗。
第3楽章として独立はしていないが、第2楽章の後半は曲想がころっと変わりallegroへとテンポも上がる。第1楽章と同様、躍動感とスピード感があるので、旋律がコラージュのようにころころ変わっていても、十分ついていける。
ピアノが弾く旋律はジャズ風のモチーフが出てきたり、プロコフィエフのような諧謔さがあったり、統一性なく展開していくので、なかなか屈折したところがある。
ピアノ協奏曲第1番は、プロコフィエフやバルトークの音楽に多少なりとも慣れていれば、十分楽しめる曲。

ピアノ協奏曲第2番(Op.42)番は第1番と違って暗い色調で、何かに追い詰められていくような切迫感と不安感のある曲。
旋律も不気味、不安定、不調和といった、ネガティブな雰囲気が強い。緩徐楽章では内面へと沈潜したような曲想で陰鬱。AllegroやVivaceであっても、軽快さや躍動感もやや後退し、開放感が薄まり切迫感した雰囲気が強くなる。
ブラッヒャーを初めて聴くなら、第1番のコンチェルトの方が無難。

「クレメンティの主題による変奏曲」(Op.61)も、ピアノ協奏曲第2番の作風に連なる曲という印象。
作品が後年になるほど、前衛的な雰囲気が強く、特にこの変奏曲は旋律はハーモニーがかなり不協和的になっている。
テンポは速く、音も結構詰まっている曲なので、聴けないことはないが、面白さを感じるかどうかは、この種の曲に対する好みに左右される。個人的な好みを言えば、度々聴きたいとは思わない曲。

Blacher: Piano ConcertosBlacher: Piano Concertos
(1995/12/01)
Boris Blacher、

試聴する



「パガニーニの主題による変奏曲」はショルティ指揮ウィーン・フィルの録音がある。
ブラームスやラフマニノフの曲で有名なパガニーニの主題(<24のカプリース>の第24番)を使った変奏曲。
冒頭は良く聴くパガニーニの旋律で始まるが、その後はブラームスやラフマニノフとは違った方向へ行くので、変奏曲といってもわかりやすいものではない。オーケストレーションはわりとカラフルで動きもあり壮大。
音自体は面白いとは思うがこの曲とは相性が悪くつかみどころがない。管弦楽曲が好きな人なら、とっつきが良いのかもしれない。
曲としての面白さという点では、ピアノ協奏曲第1番を聴いている方が楽しい。

Elgar: Enigma Variations; Kodaly: Variations on a Hungarian FolksongElgar: Enigma Variations; Kodaly: Variations on a Hungarian Folksong
(1997/10/14)
Boris Blacher、

商品詳細を見る

タグ:パガニーニ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment